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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ6才

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教えなきゃいけないことがたくさん!

 翌日からラクに色々と教えている。

 まずは絵本を読んでみた。でも、前に孤児院で人気だった桃太郎アレンジ版はラクには響かなかった。悪い魔物を退治する意味が分からないらしい。

「どうして魔物はタイジされるんだ?魔物だってハラがへってるからニンゲンを食べるんだろう?」

 ……うう、そうだねー、ライオンやクマに置き換えて考えてみたら、反論はしにくいねー……。魔物も生きてるんだもんねー……。

 次に、簡単なゲームで遊んでみた。

 この世界にもジャンケンはあるので(チョキは何故か親指と小指を立てる)、ジャンケンをして“あっち向いてホイ”を教えた。

 ……ビックリするくらいハマって、延々と相手をさせられた。

 もう一つ、前世で同級生の男子がよく休み時間にやっていた“親指ゲーム”というのもやってみた。

 お互いに親指を上向きにした両拳を出す。そして、0~4の数字を言うと同時に親指を立てる(または立てない)。言った数字と立った親指の数が合えば勝ち、というゲーム。

 これもラクはハマった。

 ラクって……たぶん、遊んだ経験もないんだろうなー。

 他にも、ラクにないものがある。

“悲しい”、“辛い”、“かわいそう”という感情だ。これがどうも理解できないっぽい。

 そういう感情を遮断しなければ、生きていけなかったせいだろうか……。


 ラクが来て1週間目。

 いつものガゼボに着いた途端、ふっと目の前からラクが消えた。

 あれ?と思ったら、背後で「ぐっ」というくぐもった呻き声。振り返って……ビックリ!!

「ラク!何してるの、止めて!!」

 なんと、ラクがテッドに馬乗りになって首を絞めていたのだ。

「なんで?こいつ、姫さんのあとをこっそりつけてたぞ」

「うん、テッドは私を守ろうとしてくれてたの!」

 慌てて引き離せば、テッドは身を折って盛大に咳き込んだ。

「お……嬢……こいつ……」

「ごめん、テッド、ほんとごめん!」

 あ~う~、ラクにまず“人を傷付けるな”と教えなきゃいけなかった!


「……拾ったぁ?!犬を拾ったのとはワケが違うだろ」

「ビルにも同じこと言われたよ……。でも、拾っちゃった以上、責任を持たないといけないので、しばらくちょっと、温かい目で見守って欲しいなー……」

 ご機嫌でお菓子を食べているラクのそばで、テッドとコソコソ話をする。

 テッドは、どうも部屋に籠る私の様子がアヤシイと思って、こっそり部屋の外で待機してたらしい。

 くうう、勘の鋭いヤツめ~(有り難いことに、リックやメアリーには話していないそうだ)。

 そうそう。

 テッドと話してて気が付いたんだけど。

 よくよく考えたら、アル以外の人には、ラクって私を襲った一味だと分からないんだよね。とゆーことは。

 そこを黙ってれば、お祖父さまに言っても大丈夫だったかも知れない。

 けど……ラクはまだ扱いの難しい爆弾って感じだ。

 もう少し一般常識と、やっちゃいけないこと、言ってはいけないことを教えておかないと……大変なことになりそうな気がする。

 もう、今さら仕方ないよねえ?

 もうちょっとだけ。

 テッドには悪いけど、目を瞑っててもらおう。

「……よく分からねぇけど、ヤバそうなヤツじゃねぇの、あいつ?」

「うん。まあ、とりあえず色々あって彼には“普通”な生活というか、生き方を教えてあげる約束になってるから……」

 はー……とテッドは額に手を当てて溜め息をついた。

「お嬢のことをオレなんかが理解できるとは思ってねぇけどさー、理解の範疇超えるわ、これ」

 でしょうねー。

 私だって、私のことは理解し切れてないもん。

ブクマが2000件に達しました!

有り難い話です。

御礼に近々、SSを活動報告に載せます~。(他の小説が佳境で手一杯なので、今週末か来週くらいに……)

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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも楽しく読んでます! まだまだ、赤ちゃんなのかな善悪とか思考が。 これからの道で味方になるか、裏切りにあうかその辺はドキドキしてます。 信じたいよね~
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