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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ6才

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やっぱり名前って必要だと思うし

 翌日、食べ物を持って裏庭へ。

 ……ちなみに睡眠薬で眠らせたメアリーとテッドには、すっごく怒られた。怒られたけど、護衛無しでどこかへ出掛けたわけじゃなく、部屋で読書しただけだと言ったら変な顔をされた。

「部屋で本を読むだけなら、別に睡眠薬もらなくてもいいじゃんか」

「でもさー、ずっと見張られてるって思ったら、それだけでストレス感じるもんなんだよ?」

「まあ……うん、そうだよな……」

「寝るときも誰か立ってるし、トイレだって扉の前で待ってるし!部屋でじっとしてるだけなら、ちょっとくらい一人の時間があっても良くない?!視線恐怖症になっちゃうってば」

「ん~……大旦那様に相談してくる……」

 ……ということで、部屋にいるときだけは護衛無しOKをもらった。

 ごめん、テッド。ものすごくウソを並べてます。

 ちなみに、護衛無しは認めてもらえたけど、たまに在室確認はされる模様。

 そんなワケで、今日、部屋を抜け出すのには道具を使った。

 いいものがあるのを思い出したのだ。王城で隠者の塔へ行くときに被る灰色のローブ。

 これ、存在を薄~くする効果があるらしい。目に留まっても、なんとなく素通りしちゃうんだとか。

 ふふふ。なんて素晴らしいローブなの。

 ということでこれを被って、自分の部屋の窓から抜け出した。

 そして部屋には、遠風話を置いておく。なるべく早めに戻るつもりだけど、在室確認の際はこれでしのげるはず……。


 厨房には数人が仕事をしていた。

 でも、灰色ローブの効果はすごい。誰にも気付かれずに食料を持ち出せた。

 裏庭へ行くと、少年はビルと一緒に咲き終わった一角を耕していた。昨日とは違って、少年は身綺麗になっている。

 ローブを脱いだら、少年が嬉しそうに「あ、姫さん」とこっちに駆けてきた。

 ……いやもう、ナイフ突き付けられて脅された身としては、こんな懐かれても意味が分からないんですけど。マジで大型犬を拾ったみたいな気分……。

「ビル!ちょっとガゼボにいるね」

「はい」

 ───少年を伴ってガゼボへ。

「ねえ」

「なんだ?」

「私があなたに名前をつけてもいい?」

 きょとんと少年は私を見た。

「名前?」

「うん。黒いのとか赤目は名前じゃないし」

「……どんな名前?」

 感情の読めない目がちょっと怖い。

 もしかして名前を私に付けられるって嫌なのかな。でも名前がないのも不便だし……。

「えーと……ラクっていうの。遠い遠い国の言葉でね、“楽しい”って意味があるんだよ。これから、あなたに楽しいこととか、いっぱいあるといいなと思って」

「ラク……」

「うん」

 ガクと読ませるか悩んだんだけどね。ラクの方が軽くて良い気がしたのだ。

 ちなみに、もう1つの候補は“コウ”。少年の罪を考えると教えていいのか良く解らなくなるものの、少年が知りたいと言った“幸せ”……。

 てゆーか、何故に日本語名って感じだけど、ふと、頭にその漢字二つが思い浮かんだんだから仕方がない。

 少年はしばらく固まっていたけど、ふいに破顔した。

「ラク!オレの名前!」

「うん。気に入ってくれた?」

「ああ」

 少年……ラクは何度も頷き、突然私の手を取ってキスをした。

「は?!な、なにするの、ちょっと!」

「これからは姫さんがオレの主だ」

「ええ?!そんなのならないよ!」

 なんで騎士みたいな誓いを立てるのよ、ラクの主とか、重いじゃんっ!!

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