表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/365

悪役令嬢ではなく悪役商人にジョブチェンジ?

 ……不覚。

 王子を脅かすつもりが、私が怖がってしまうなんて。

 翌朝、起きたときには王子の姿はなかったけれど、私の手にはまだ王子の温もりが残っているような気がした。

 はー、悔しい。

 次こそは、王子をなんとかぎゃふん(死語)と言わせなくちゃ。


 王城を辞したあと、私はしばらく王都のカールトン邸に滞在することになっていた。

 商会のお手伝いをするのだ。

「アリッサお嬢様!お待ちしておりました」

 商会に着くなり、従業員がずらりと並んで出迎えてくれる。……毎回思うんだけど、5才の子供にこの出迎えは、ちょっとやり過ぎじゃない?

 まずは恒例、お父さまと店長の三人で、店内をチェックして回る。

 香辛料の棚で、店長が立ち止まった。

「そういえば、この香辛料のレシピ集はとても人気なんですが……最近はレシピの隅に描いてある猫が可愛いから、レシピだけ全部欲しいという奥様やご令嬢がいらっしゃるんですよ」

 ほほう?

 これは……新たな商機?

 実はレシピの隅に、長靴を履いた猫に似たイラストを入れてもらっている。そしてその猫の横に、レシピの一言アドバイスを書いているのだ。レシピごとに猫のポーズは変えて。

 この世界にはキャラクターグッズというものがないので、いずれ可愛いキャラクターを作って売ってみようと思っていた。まずは手始めに、この猫から始めるのもいいかも?カップやソーサーに上手に絵付が出来る職人、いるといいんだけどなー。

 ちなみに、レシピはタダでは渡していない。紙は貴重だし、レシピだってこの世界ではかなり価値があるからだ。お貴族樣は、他で知られていない料理を客人に振る舞うことにステータスを感じるらしい。

 で、レシピ1枚いくらだと思う?

 なんと1万円!!(これ、前世の価値に変換した場合ね。もしかすると、もうちょっと高いくらいかも?)

 高過ぎ~~~。

 私はせいぜい500円くらいで売るつもりだったのに、お父さまや店長に大反対されて、この値段になった。それだけ価値があるってことらしい。香辛料の販路拡大のつもりが、まさかレシピ単体でも売り物になってしまうとは。

 ただ、この店を利用するのは基本的にお貴族樣ばかりなので、有り得ない高額レシピでも、皆、気軽にバンバン買っている。「この棚の端から端まで、全部チョウダイ」て、本当に言っちゃう人もいる世界なのよ……。前世の庶民感覚が色濃く残っている私には、付いていけない買い物風景だわ。

 でもさー、前世なら……レシピなんかスーパーでタダで置いてあったじゃない?私が発案したとはいえ、悪どいことをしている気分だわ……悪役令嬢を止めるつもりだったのに、新たに悪徳商人の道へ突き進んでるのかしら?

ブックマーク登録が20件になりました。ありがとうございます!うれしいな~。

もう1つの作品が書き終えられたので、こちらの作品をせっせと書き進めていきたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ