パーティーは豪華な揃いの戦闘服で挑みます
マーカス殿下の誕生日パーティー、お父さまは私やアナベル姉さまが出席しなくていいよう、あれこれ理由をつけて断っていたようだけど、無理だったらしい。グレイシー姉さまの誕生日パーティーからさほど日を置かないうちに、殿下のパーティーにも行くことになった。
ま、アナベル姉さまも一緒なら心強いから別にいいや。
ちなみにお父さまは
「今後、二度と招かれないよう、この機会にこっぴどく殿下をフッてしまえ」
だって~。
いいのかな、そんなことして。でも、お父さまのGOが出たのなら、好きなようにやっちゃおう。
たぶん、この件はマーカス殿下じゃなくシンシアさまが計画してるだろうから、シンシアさまが諦めてくれるように。
「きゃあ、いいわ、アリッサ!カッコいい!」
「アナベル姉さまもステキ~!」
「…………えぇ?!やりすぎじゃないの、それ?」
「え?ライアン兄さま、似合いませんか?」
「いや、似合うけどぉ……」
ライアン兄さまがモゴモゴと口ごもる。
……マーカス殿下の誕生日パーティーの日。
朝から私とアナベル姉さまは戦闘態勢である。
お父さまがギリギリまで参加を渋っていたため、今回、新たにドレスを作るヒマはなかった。なので、すでにあるドレスや既製品のドレスを手直しして参加だ。
そんな私のドレスは。
な~んと、黒いドレスをオシャレに改造したもの。
この世界でも、喪服といえば黒(ただし庶民は白らしい。衣装を綺麗に黒く染めるのは大変なんだとか)。その喪服用シンプル黒ドレスを、華やかな一品に変えたのである。
とはいえ、喪服でパーティーに出席したと知られたら、さすがの火龍家とて罪に問われかねない。なので、喪服とは分からないほど改造を加えている。
白と深紅のレースやリボンでアクセントを入れ、随処に黒バラのコサージュを散らした。おかげで黒ベースとはいえ、豪華な仕上がりだ。
一方、アナベル姉さまは深紅のドレス。これに白と黒のレースとリボンのアクセントを加えて、紅バラのコサージュを散らしている。
つまり私と色違い、対となるドレスなのだ。髪も紅と黒だから、もう完璧!
「あーん、私も加わりたかった!」
私とアナベル姉さまが並んだときに、グレイシー姉さまは身悶えしていた。
そうでしょ、そうでしょ。これ、アイドルユニットみたいじゃない?アナベル姉さまと歌って踊っちゃおうかしら。
お父さまも「娘達が可愛すぎる……」と絶句していた。
ただ、ライアン兄さまの「嫁の行き手がなくなると思うな……」という小さな呟きは無視しておこう。
ド派手で明らかに悪役っぽい衣装だもんね。
でも私、別に結婚できなくてもいいし、アナベル姉さまも平気そうだし。それに火龍家の財力なら、娘二人が嫁に行きそびれても養えるでしょ?
てゆーか、私も姉さまも自分で稼げるから、大丈夫、大丈夫!




