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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ6才

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低カロリーで美味しいもの、至急開発が必要?!

 アルダー・ル雑貨店がオープンし、大変な賑わいらしい。あまりの人気ぶりにオリバー兄さまとお父さまは連日、朝から晩まで店の対応に追われているとか。

 しかし私は、王都ではなくカールトン領でいつも通りののんびりした日常を送っていた。

「お嬢ってあんまり欲がないな」

「そう?わりと欲まみれかなって思ってるんだけど」

「注目されたい!ってゆー欲のほう。名誉欲?」

「だってそれ、なんにも役に立たないじゃん。お腹がふくれるワケでもないし、よく知らない人に声を掛けられるのも面倒だし」

「そりゃそうだけどさー」

「お、おじょ…さま……も、もうちょっと……ゆ…っくり……」

 背後からの切れ切れの声に、私とテッドは振り返った。

 よたよたと私たちの後ろを走るのは、シェフのジョンだ。

「もうあと少しだから。がんばれ、ジョン!」

「む……むり……です……」

「できる!」

 ここ半年ほどでジョンのサイズが一つどころか二つ、三つ上がった感じなので、私と一緒に朝ジョギングするのがこの頃の日課だ。

 私がいない日は、護衛だの馬番だの、誰かに代わりをお願いしている。みな、ジョンの健康のためだと言えば、快く協力してくれるので有り難い。

 やっぱ、ジョンの料理は美味しいもんね。健康で長生きして欲しいよねえ。

 そんなワケで心を鬼にしてジョンを走らせているのだけど。今にもジョンは倒れそうになっていた。

 仕方ない、そろそろ燃料を投下するか。

「ジョン!今日はね、豆腐を作るよー。しっかりお腹を空かせておこう!」

「は、はい……トーフ……ト、トーフのために……がんばり……ます……!」

 ごめん、ジョン。

 豆腐は、あなたのダイエット目的よ。好きな揚げ物系じゃないけど、受け入れてね。

 

 そうそう。

 これまたジョンの体重増加の一因となったマカロンの方は、試行錯誤の末、いい感じに完成した。

 アナベル姉さまに食べてもらったら、もちろん大喜びされた。

 ただ、これを商会の方で提供するのは、来年以降になりそうだ。今でも混雑しているのに、これ以上の来客数増加は従業員が持たないらしい。

「トーフは豆を使うんですか?」

 ジョギング後、水浴びをして着替えてから厨房へ行くと、すでに準備万端のジョンが待っていた。

 んん?あの死にそうな顔はどこへ行った?実はもっと走れるんじゃないの?

 ───大豆に似た豆は、昨日から水につけて柔らかくしている。

 前世、学校で一回だけ授業で豆腐を作った。なんとなーく覚えているのを引っ張り出す……。

「とりあえず細かく砕いて、出来たのを鍋で火にかけるでしょ。で、浮いてくる泡は取り除いて……濾す。それをもう一回、火にかけて……湯気がたくさん出てくるくらいになったら、火を止めてにがりを入れて混ぜる……」

 大体、こんな感じだったと思う。

 あのときに食べた出来立ての豆腐、結構美味しかったな~。醤油がないのは、ほんと、残念。

 ちなみに、にがりもちゃんと作っている。海水を煮詰めて濾すだけだ。

 中途半端であやふやなお菓子の知識と違って、一度でも自分で作ったことがあるって、やはり強いね。

 その強みがしっかり発揮され、一回目でちゃんと出来上がった。

 よしよし。

 完成品を、オリーブ油と塩をかけて食べる。

 お?

 美味し~い!洋風冷や奴もなかなかいいんじゃない?

 …………でも、予想通り、ジョンには物足りなかったようだ。

 この豆腐を使って麻婆豆腐にしたら、ジョンも満足してくれるかしらん?あ、でも麻婆豆腐って、味噌だか醤だかが要るんだっけ?参ったなあ……。

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