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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ6才

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帝国の商会の人と話をする

 その後、バートの持ち船だという帆船にも乗せてもらい(停泊中の船に乗っただけ。いつか海にも出てみたいな~……)、非常に充実した時間を過ごした。

 昼食は、海の見えるテラスでなんと海鮮バーベキューだ。ひゃっほ~!

 貴族的には、焼いた串焼きの海鮮を食べるなんて有り得ないのかも知れないけれど、兄さまもマシューも慣れた様子。よくリーバルに来ているらしいので、何度か食べているのだろう。私も大喜びで頬張ったら、バートが「さすが姫様だ、一緒に海賊をしましょうか!」と嬉しそうに目を細めた。

 ……マシューがこっそり教えてくれたところによると、バートは昔、海賊だったらしい。

 お祖父さまと一騎打ちして完敗、その後、リーバルの防衛を任されることとなったのだとか。

 ふうん、この世界にもいるんだね、海賊……。てゆーか、私が最初に抱いた海賊が似合いそうって感想は正しかったのか。カッコ良かっただろうなぁ。

 

 午後は帝国の商会の人と会った。

 ツァーンラント商会のオットー・カスパーさん。40代くらいだろうか?

 ツァーンラント商会はリーバルに倉庫を3つほど持っている。雑貨類を多く扱っているそうだ。

 カールトン商会で文房具や雑貨を扱うことになったので、今回のリーバル訪問でオットーさんと顔合わせしておくことにしたみたい。

 オットーさんは白銀の髪、アイスブルーの鋭い瞳、わし鼻、秀でた額。

 一見、冷たく怖そうな感じ。だけど話してみると、かなり穏やかで優しそうな人だった。

 そして!なんと、万年筆は彼の祖父イエル・カスパー氏が最初に開発したらしい。

「もっとも祖父は、からくり時計を作る技師だったんですよ。その合間に便利な道具や子供や孫が喜ぶ玩具を作るのが趣味でして。……今も帝国の宮殿には、祖父渾身のからくり時計が現役で動いています」

 ちなみにそのからくり時計、兄さまもマシューもバートも見たことがあるらしい。口々にあれは見事だと絶賛する。

 2mほども高さがある時計で、時間になったら音楽が鳴り人形達が踊るとか。

「すごいですね!」

「はい。見事です。いつか機会があればぜひ、お嬢様にも見てもらいたいものです」

 ニコニコと言うオットーさんは、誇らしげだ。ううーん、今すぐ見に行きたい!

「祖父は本当に素晴らしい技術屋でした。ただ残念ながら、父も私もその腕は引き継げず……仕方がないので代わりに技術者を育て、祖父の作った物を世界へ広めているんです」

 とはいえ、イエルさんほどの繊細で精緻な加工技術は誰も真似が出来ないそうだ。

 だから、今はもうからくり時計の生産はしていない。代わりにイエルさんが趣味で生み出した様々な雑貨を主に生産している。

 そのうちで一番人気なのが魔風琴オルゴール

 なるほどね、音楽のなるからくり時計を作るんだもん。魔風琴もその一種ではあるか。

 なおイエルさんが作った魔風琴は魔法石を必要としない仕掛けだったが、同じものを作り出すことが難しく、今は魔法石を使っているらしい。……ということは、もしかして本来はゼンマイ仕掛け?

「万年筆についても、実は祖父の遺品の中から見つけました。祖父は商売に興味がなく、自分の作りたいものを好きなように作るタチでして。万年筆も自分用に何本か作製して特に誰にも見せず使用していたみたいです」

 なので、遺されていた万年筆の1本を分解して構造を調べ、再現したらしい。完成するまでかなり時間が掛かったとオットーさんは笑った。

 ───ふ~ん。

 ここまで聞いて、思い至らないはずがない。たぶん、イエルさんは私と同じ、前世の記憶を持っていた人だ。もう20年も前に亡くなったそうだけど。

 私みたいに半端な知識と違って、きちんとした技術の記憶を持っていたようだから、この世界にとても有用な人だったろうなぁ。

 実際、平民だったけど一代限りの男爵に叙爵されている。ああ、会って話が出来ないなんて……すごく残念!

 

 さて、オットーさんにカラフルな万年筆インクが欲しいという話をしたら、「若い女性らしい視点ですね!」と感心された。

 そ、そうかなあ?

 他にも色々と帝国の興味深い技術のことを教えてもらって。

「カールトン商会の雑貨店が開店するときには、伺わせて頂きます」

と帰り際にオットーさんは約束してくれた。

 うわぁ、これは店作り、頑張らなくちゃ!

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