港町リーバルに到着
話の都合上、少々、短め。次が倍の長さになります……。
リーバルは切り立った崖の間に出来た港町だった。
ブライト王国で唯一の港町であり、カールトン領にとっても重要な土地であるリーバルが領都じゃない理由、なるほど、それはこのせいなのかも。大きく広げることが出来ないのだ。港町としては、それなりの大きさではあるけれど。
しかも陸路なんて、最後は細い崖道だった。危ないことこの上ない。
まあ、陸路代わりに川が使えるけどさ。
───かなり朝早く出発したのに、到着時はすっかり夕暮れになっていた。
リーバルでの滞在は、統領の館だ。
統領のバート・オズボーンは、海賊の格好が似合いそうなカッコいいオジさんだった。ロマンスグレーの長い髪を後ろで一つに結び、陽に焼けた浅黒い肌をしている。50才くらいらしいけど、動きはキビキビとしてもっと若そうな雰囲気だ。
「お久しぶりです、オスカー様、マシュー様。……それと初めまして、素敵な姫君。このリーバルで統領を務めておりますバート・オズボーンと申します」
「初めまして、オズボーン様。アリッサ・カールトンです。このたびはお世話になります」
「どうぞ、バートとお呼びください。オスカー様やマシュー様から姫のお噂はかねがね。お会いするのを楽しみにしておりました」
ニコッと目尻に皺を寄せて笑う。
……ひゃ~、イケおじ!お父さまより年上の人に、まさかこんなにくらっとするとは思わなかった。女性慣れしてる感じなんだけど、全然、嫌らしさがなくて爽やか~。いっぺんにファンになっちゃう。
「朝からずっと馬車でお疲れでしょう。どうぞ、我が家と思ってゆっくりとお寛ぎください」
そう言って案内してくれた部屋は、落ち着いた色合いだけど、花なども飾られた可愛い部屋だった。
窓を開けると青い海が一望でき、気持ちよい海風が入ってくる。う~ん、最高!
前世だったら、一生縁がなさそうなリゾート地の高級ホテルって感じ?
夕食は、海の幸たっぷりのメニューだった。
パエリアっぽいものとか、めっちゃ美味しい~(米じゃなくパスタっぽいので作られている)。
は~、やっぱ、海鮮のお出汁はいいね。別に刺身や寿司を恋しく思ったことはなかったんだけど、こんなにいろいろお魚を見て食べたら、なんだか海鮮丼が食べたくなっちゃった。
生で魚を食べる習慣はないのかな?あとで聞いてみよう。
ついでにお米も本腰を入れて探してみなければ。お米があると、食事の幅は広がるもんねぇ。
お風呂に入ってさっぱりして。
兄さまやマシューはバートとまだ話をしていたみたいだけど、私は初めての馬車旅に(ただ座ってただけなのに)すっかり疲れて、その夜はあっという間に寝てしまったのだった。




