気にしてもハゲるだけだしね
ジョージーナ様とひとしきり喋ったあと、そっと会場を出た。
他の人からも声を掛けられそうだったので、早めに撤退するのだ。私はお父さまと同じ紅い髪だから、壁の花をしてても誰かバレバレ。火龍公爵家と繋がりを持ちたい人がすぐに寄ってきてしまう。なので、兄さま達のそばにいなさいと言われていたんだけど……つまみ食いしにこそっと移動して、そのあとジョージーナ様と喋ってたせいですっかり離れちゃった。
とりあえず別室に下がり、一息つく。だら~っと寛いでいたら、メアリーがひょこっと現れた
「あ、ここにおられたんですね。アルフレッド殿下がお嬢様に挨拶したいと」
「あ、アルも来たの?」
そりゃ、そうかな?
だってアルもアナベル姉さまとはパジャマパーティー仲間だもんね。そもそも貴族にとって10才の誕生日は特別みたいだし、王妃さまの代理で来たのかな。
「アリッサがいない!と、兄上がたが青くなっていたよ」
アルが入ってくるなり、笑い含みに言った。
あ、いつものアルだ。仲直り方法をあれこれ考えていたんだけど、もう大丈夫なのかしら。
「兄さまに黙って離れてしまったから……メアリー!もう部屋に下がるって兄さまに伝えといてくれる?」
「はい。……でも、リックを呼んできますから、お一人で部屋に戻らないでくださいね~」
「はーい」
屋敷の移動でも1人はダメなの?最近、ほんと厳しい。
私の不満そうな顔を見たからだろう。私の隣に腰掛けたアルは自身の背後を指した。
そちらを見ると、ウィリアムがニコッと私に手を振った。
「僕も王城でずっとウィリアムが付いて回ってるよ。まあ、今日は人が多いから。誰か付いてもらっていた方がいい」
「王城でも?」
「そう。四六時中、あの顔を見てるとうんざりするけど」
視界の端でウィリアムも黙って肩をすくめたのが見えた。こっちだってうんざりしていると言いたげだ。
くすっと私が笑ったら、アルの眉が下がった。
「ああ、それでアリッサ。この間はちょっと態度悪くてゴメンね。今日はそれを謝りたくて」
「ん……それは、わたしが」
「アリッサか適当に謝るのは無し」
「え~……」
「そもそも、何に謝るつもりなのかな?」
えーと、友達なのに関係ないって言ったから。
―――で、正解じゃないの?
だけど、なんとなく不安なので素直に聞いてみることにした。
「………何に怒ってたか教えてくれる?」
「ふふ。ごめん、それは言えない」
あらら……綺麗な笑顔で拒否されてしまった。
「わたしが友達なのに関係ないって言ったからだと思ったんだけど……」
「うん、ちょっと悲しいなぁと思ったけどね。でも、どちらかとえいば僕自身の問題が大きいんだ。だから、アリッサは気にしないで」
「そうなの?」
「うん」
むう。
どうやらこれは、詳しく言ってくれなさそうだな……。
仕方ない、気にするなというなら、気にしないでおこう!
アリッサは引きずらない性格なので、気にしないでいいと言われたらさっさと忘れます~。
GW中も火木土の定期更新をします。次話から、オリバー兄さまと楽しい小旅行へ行ってきまーす♪
(別にGWだからというワケではないのですが)




