アナベル姉様の誕生日パーティーで友達をゲットする
あっという間に、アナベル姉さまの誕生日パーティーの日だ。
私とグレイシー姉さまは、可愛いヘッドドレスとネックレスのセットをアナベル姉さまに贈った。
「カワイイ~!」
「アリッサがデザインしたのよ、流石よね」
「ありがとう、アリッサ!」
いえいえ、どういたしまして。アナベル姉さまには、お世話になりっぱなしだもーん。
ちなみに、今日着る予定のドレスに合わせた色やデザインなので、アナベル姉さまはさっそく身につけてくれるらしい。嬉しい。
「アリッサ、私の成人のときもぜひ、素敵なアイディアをだしてね」
「もちろん、グレイシー姉さま!」
アナベル姉さまの誕生日パーティーで、カールトン商会新店舗の宣伝もするそうだ。アナベル姉さまが喫茶エリアの責任者だという紹介もするらしい。
「アリッサの名前は出ないのに、わたしが前に出るのってイヤだわぁ」
と姉さまは言うけど、私は別に裏方でいいもん。気にしてない。
お父さまも、私はすでに色々目立っているからこれ以上目立たせるなという方針だ(どの辺りで目立ってるんだろ?)。ということで、人生ゲームやリバーシなんかも、“カールトン商会”の名前で権利登録をしていて私の名前は出ていない。
さて、パーティーが始まり私も参加したけど、兄さま達のそばにくっついて大人しくしていた。でも、大人相手に挨拶を続けるのも疲れてきたし、ちょこっとスイーツだけつまんで早々に退散しようとタイミングを見計らってそっとテーブルの方へ行く。そのとき。
「アリッサ様でしょうか?」
おとなしそうな1人の少女から声を掛けられた。
紅茶色の髪、深い緑色の瞳。真面目そうな雰囲気の子だ。
「あの、突然申しわけありません。非礼は重々承知しておりますが、わたくし、チェスタートン伯が娘のジョージーナと申します。どうしても、アリッサ様とお話をしてみたくて、このようなお声掛けをしてしまいまして……」
ああ、身分の低い者から高位の者に声を掛けたらダメとかいうやつ?面倒な風習よね。私は四大公爵家の人間だから、ほぼ気にせず誰にでも声を掛けられるのが有り難いのだけど。
「はじめまして、ジョージーナ様。お声を掛けていただけてうれしいです。どのようなご用件ですか?」
ジョージーナ様がリラックスして話せるように、にっこり笑って軽くカーテシーをする。ジョージーナ様はホッとしたように握り締めていた手を緩めた。
「あの、カールトン商会で販売している長靴を履いた猫の絵本、アリッサ様が文を書かれたと知りまして……わたし、すごく感動して……!あの話、とても面白かったです。絵もカワイイし!続編も出るって聞いて、ものすごく楽しみにしています!」
お?おおう、急に熱量が……。
「あの、アリッサ様はわたしと同じ年とうかがいまして。もう、すごいです。尊敬します。これからも、たくさん、たくさん、本を書いてくださいね!応援します!!」
「あ、ありがとうございます」
「あの、あのあの!あ、握手していただけますか?」
うわぁ、盗作作者としては、こんなに熱烈な歓迎は心苦しい~。
でも。
私と同じ年って?
同じ年の友達はいないので、これはチャンスかも!
握手をしたあと、私はドキドキしながら彼女に問いかけた。
「ジョージーナ様。良かったら、わたしと友達になってくれませんか?」
「え?えええ?!よ、よろしいんですか!!光栄ですぅ、アリッサ様と友達……と、友達……!」
だ、大丈夫かな?
興奮しすぎて倒れそうな様子なんだけど。
だけど、本好きな友達が出来たのは嬉しい。本好きの輪を広げて、この国の図書をもっともっと発展させていきたいよね。
そうだ。ジョージーナ様は書く方には興味ないのかしら?
私、前世の知識でなんちゃって作者をしているだけだから、書き手が増えてくれると幸せなんだけどな~。




