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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ6才

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地雷がどれか分からない

 不穏なお茶会は、お父さまとルパート閣下が迎えに来てくれたことで強引に終了した。

 帰り際。

 ディに口パクで「お馬鹿さん」と言われた気がする。……ねえ、どの点がお馬鹿さん?!マーカス殿下と2人っきりになったのは、私のせいじゃない~。


 翌日、せっかく王都にいるのだからと、領には戻らずこっそりと隠者の塔へ。

 迎えに来てくれたアルはいまだ、冷ややかな空気をまとったままだった。

 お父さまとリックが「ん?!」と驚いた顔をしている。うんうん、ビックリするよねー……なんでこんなに怒ってるんだろねー、アル。美人さんが無表情で怒ってたら、すんごい迫力があるって知ったよ。怒鳴り散らしてくれたらいいのに……。

 というより、何に怒っているのか、はっきり言って欲しい。マーカス殿下と2人っきりになったことを怒っているとは思うんだけど、あれ、不可抗力じゃん?私の言い訳、聞いてくれないかな?何も聞かずにただ怒ってるのは胃に来るんだけど。

 

 隠者の塔に着き、ウォーレンさんもアルのただならぬ様子に目を見張る。

 そして、じっと私を見た。

 ハイ。

 私が原因と思われます。でも、詳細は不明です……。

「き、ききき今日で……魔力瘤の、ち、治療は……お、お終わるんだけど……」

 チラチラとアルを見つつ、ウォーレンさんは呟くように言う。

「つ、次……から、ま、まま魔法の……訓練……しよう……」

「はい、よろしくお願いします」

 は~う~、だけど王城へ来るのが辛いよーう。


 治療後、ウォーレンさんが本を取ってくると言った。次からの魔法特訓に使う本らしい。手伝って欲しいとリックを連れ出す。

 ……これはアルと仲直りしてねっていう心配りよね?出来るかなぁ。

 妙に気まずい沈黙が続く。

 うーん、うーん、まずは当たりさわりのない話から始めるべき……?

「……昨日は、ちょっと……アリッサにきつい言い方をしたよね。ごめん」

 !!

 アルから話しかけてくれた!

「う、ううん。お母さまからいろいろ注意はされていたんだけど、あの、お茶会ではついつい、しゃべっちゃったし……あと、トイレに行って帰ってきたらマーカス殿下がいたりして、どうしようかと……」

 アルが静かな目をこちらに向けた。

 怒ってはいない?だけど、張り詰めた空気を感じる。

「兄上との会話は楽しかった?」

「え?どうして?」

「2人っきりで、楽しそうな笑い声が聞こえた」

 笑い声?笑ったっけ、私?あ、違う、マーカス殿下だ。

「あれは、マーカス殿下から婚約の打診があって」

「婚約?!」

 ハッとアルの顔色が変わる。私は慌てて手を振った。

「う、うん、でもすぐにお断りしたんだよ。で、代わりにマーカス殿下が王位を継ぐのは応援しますからね~みたいなこと言ったら、笑われたの」

「…………何故、応援?」

「えーと、アルって王さまになりたい?」

「なるつもりはない」

「でしょ?だから、マーカス殿下には頑張って王さまになってもらおうと」

 アルが奇妙な顔をした。

「僕のため?」

「うん」

「そっか」

 ふにゃっとアルが笑った。わわっ、可愛い!

「そうだね、マーカス兄上には頑張って王位を継いでもらわないとね」

「ね?で、アルは自由だ!」

 ふふ、と2人で顔を見合わせて笑った。良かった。アルのご機嫌は直ったみたい。

「でも……まさか兄上がアリッサに婚約の話を持ち掛けるとは思わなかったよ。アリッサ、ごめん」

「どうしてアルが謝るの?シンシア様もわたしかディをあわよくば!って狙ってお茶会を計画したんでしょ。じゃ、仕方ないよ」

「だけど……」

「大丈夫!ちゃんと断ったし。というより、わたしの婚約のことまでアルが責任を感じる必要ないよ。アルには関係のない話なんだから」

 その瞬間、ふっと部屋の温度が下がった気がした。

 あれ?…………なんだろう、何かすごーく失敗したような?

 ハッとアルを見たら、とってもキレイな作り笑顔になっていた。

「そうだね。アリッサの婚約話は僕には関係ない話だった。これからはもう、口を挟まないから」

「え……う、うん…………」

 また……機嫌損ねちゃった??


 帰ってから、リックに「帰りは更に冷えてたぞ?殿下に何を言ったんだ?」と聞かれた。

 ううう、私には地雷が分からないよーう。

 とりあえずこのままでは困るので、男子の目線からアドバイスをもらわなくては。

 始めっからの経緯をリックに語る。

「えー……つまり、お嬢は第一王子とお茶会で仲良くしゃべって、更に2人っきりになったと」

「…………でも不可抗力だし」

「んで、この件はアルフレッド殿下には関係ないから口を挟むなと」

「そんなキツい言い方はしてない」

「言い方はどうでもいいんだよ。…………はー、これはもう完全にお嬢が悪いや」

 リックは首を振って溜息をついた。わたしはリックにすがりつく。

「どこが?!ねえ、教えて?どう謝ったらアルは機嫌直してくれるかな?」

「お嬢には原因が全然分からないんだろ?じゃ、謝ったって意味ねぇもん」

「えええ~。でも、リックには分かってるんでしょ?」

「俺なんかに推察されて、殿下も気の毒だよ……。お嬢。頭いいんだから、ちゃんと考えろ」

 考えても分からないから聞いてるのに。リックのケチ!

いい子のアルフレッドが珍しくヘソを曲げてます。

これ……間に誰か入らないと直らないかも~。

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