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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ6才

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みんな…もっと喋ろうよ…

 エリオット、ディに続いて陛下と王子達に挨拶をし、円形のテーブルに着く。

 と、陛下はそれを見届けて「では、ゆっくり楽しんでくれ」と退出してしまった。

 ……参加しないんかーい。

 いや、まあ、子供ばかりのお茶会に大人の陛下が1人だけ混じるのは変だと思ってたけどさ。あれだよね、私やディ達を呼ぶための口実だったってことよね。

 陛下をこんな風に使っちゃうシンシア様って怖いな。


「今日のお茶は、トーア国のものだ。香りがいいんだ」

 マーカス殿下が運ばれてきたお茶について説明する。

「……南の島国ですね」

「ああ。お茶が特産の国だ」

 エリオットが短く答え、マーカス殿下が頷いたあと沈黙が落ちる。その間に、侍女が静かにティーカップを並べてゆく。

 え……会話、これで終わり?

 ちらっとディを見るも澄ました顔で座っている。喋る気、完全にゼロだ。

 アルも、ザカリー殿下も無表情。

 ま、待って。

 もしかして、こんな拷問みたいな時間が続くの?!

 やだぁ、耐えられない!

 たぶん私も黙っている方がいいんだとは分かってる、けど。こんなの、無理だよぉ……。

 ということで恐る恐る、言葉を発してみた。

「トーアのどの地方のものですか?」

 アルがちらっと心配そうな視線を向けた。

 お母さまから、アルはマーカス殿下やザカリー殿下とは折り合いが悪いと聞いている。特にマーカス殿下はアルを虐めていたこともあるそうだ。このお茶会で喋らないのは、マーカス殿下と不要な争いをしないためだろう。

 マーカス殿下は、私の質問に少しホッとした顔をした。

「タルム山で採ったものだな」

「すごい!貴重茶葉ですね。初めて飲みます」

「カールトン商会は世界中の食品を輸入していると思っていたが、この茶葉は扱っていないのか?」

「タルム山のものとなると、注文を受けてからの仕入れになります。販売することはあっても、我が家で飲まれることはないですね」

「そうか」

 あ、マーカス殿下、自慢気な顔になってる~。

 すごいのは王家の力であって、殿下は何もしてないよん。って言ったら首をはねられるかしら。

「こちらのお菓子は何ですか?」

 続いて、こっちも自慢したいのだろうと予測し、ティーカップと共に配られたお菓子を指して質問する。

 よくぞ聞いてくれたという感じで殿下がニコニコと答えた。

「帝国で流行ってるメーレというお菓子だ。雲のように軽くてうまい」

 食べてみたら、メレンゲ菓子だった。

 なるほど。そういえば、こういうお菓子はこの国にはなかったな。

 あ、これに粉のアーモンドを加えたらマカロンじゃなかったっけ?色粉でカラフルにして可愛いマカロン作ろうかな~、カフェメニューにぴったりじゃない?!

 いいアイディアをもらってホクホクしてたら、マーカス殿下が「喜んでもらえて何よりだ」と嬉しそうに言う。

 はっ!

 私、もしかして、にやにやしてた?

 アルだけでなく、ディもエリオットも心配を超えて不安そうな顔でこっちを見てる。

 ちょっと。

 それなら、もっと喋ってよ。


 その後も私とマーカス殿下の当たりさわりのない会話は続いた。

 それにしても。

 意外とマーカス殿下って気遣いの人かも知れない。一生懸命、会話を続けようとしてて、なんだか中間管理職で苦労してる人に見えてきたよ……。 個性の強い職場(王宮)にいて大変だよね……。

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