陛下と、第一王子・第三王子
さあ、王城でお茶会だ~!
ちょっと気合いを入れないと。
そうそう。ディがお茶会でマーカス殿下やザカリー殿下との婚約を迫られそうで憂鬱~と手紙してきたので、私・ディ・エリオット・アルで揃いの衣装にしてみない?と提案してみた。そしたら、非常に面白そうだけど、アルの立場が危なくなりそうだから止めましょうと返ってきた。
そっか。
二龍が第二王子に付いたぞ?みたいな脅しになるよね……。考え無しでした。
一方お父さまからは、アルともエリオットとも被らない無難な色のドレスで行け!と言われた。
お父さまの心配は分かる。
でも、お茶会ごときで、なーんでこんなに気を使わなきゃならないんだか。は~、貴族は本当に面倒くさいなぁ。
お父さまにエスコートされて王城へ。
ちょうど水龍公爵家とも豪華絢爛な入口でかち合った。ルパート閣下が私を見て笑顔で挨拶をしてくれる。
う~わ~、お茶会は楽しみじゃなかったけど、閣下のこの笑顔で救われた!今日、頑張れるぅ!
「……ルパートが笑顔?!」
お父さまの顔がひきつり、さっと私を隠すように前へ出た。
お父さま?“娘可愛い”も過ぎると恥ずかしいってば。
私は赤くなりながら、ディとエリオットに挨拶した。
2人とも今日はお揃いの薄い紫の衣装だ。う~ん、美しい。
1人でも目を惹く美人なのに、2人揃うとね……相乗効果がすごいよね。
もし私が双子だったら、どぎつくて、余計に悪役感が増すのかしらん。まあ、それはそれで面白い気もするけど。
あ、ちなみに私はドレスを若草色にした。赤い髪って似合う色が少ないから大変なのよね。
さっさと大きくなって、どうせなら黒でド派手にドレスアップしてみたいわあ。ゴスロリ的なドレスを流行らせてやろうかと密かに企んでいたり。お父さま、卒倒したりしてね?
───さて、間近で初めてお会いしたフィリップ陛下は、アルとそんなに似てない気がした。髪や瞳の色は同じだけど、顔の輪郭はやや四角張っているし、鼻もややぼてっとしてるし、何より覇気がない。王様!っていう貫禄がない感じ?
アルは王妃さま似だよね。美人な王妃さまに似て、良かった!
マーカス殿下は陛下に似ていて、ちょっと四角い顔だ。ただ陛下よりは男前(失礼すぎるって?心の中で思うだけなら自由よね)。だけど残念ながら髪はくすんだ金髪、瞳も青灰色。これは……キラキラなアルと並んだら見劣りしちゃうだろうなあ。気の毒……。
そしてザカリー殿下は、兄と同じくすんだ色合いながらも華奢で美少年風だった。
風、というのは。
目がね……なんだろ、死んでるのよ。光がないというか。病んでるというか。
俯き加減で上目遣いにこちらを見る目が……怖い。
ううーん、この王子とは仲良くなれない気がする~。




