ディナーはみんなで楽しく
ディナーは、なかなかの大人数になった。
夕方にお祖父さまとお祖母さまも王都のカールトン邸に来たからだ。……というか、冬の間はライアン兄さまもアナベル姉さまも大抵はカールトン領にいるのに、そういえば今日は王都にいる。どういう風の吹き回し?
さて、リバーシ大会は、やはりお父さまが一番強かったらしい。
次がウィリアム(さんは要らないと言われた)。
その次が難しく、アルとエリオットは拮抗しているそうだ。そして、リックがやや下で、ライアン兄さまが一番弱い。
そんなわけでライアン兄さま、大ショック。きっと明日からめちゃくちゃ練習するだろう。私、捕まらないようにしなくちゃ。
「でも、みんな、こんなに夢中になるなら、王城でリバーシ大会を開いてみても面白いかも知れないですね?大人から子供まで、男女も関係なく戦えるし」
ふと思い付いて提案したら、男達の目がギラッと光った。
お父さまが真剣に考え込む。
「ふむ。悪くない案だな……」
「殿下。開催しましょう!」
エリオットがアルに迫る。ライアン兄さまも深く頷いた。
「えええ~?剣術大会と違って、こーんな地味な戦い、つまんない」
これはアナベル姉さまだ。
隣でうんうんとディも頷く。
私は2人に向かってにやっと笑った。
「じゃ、観戦者は誰が勝つか賭けをするってどうですか?」
「賭けぇ?!」
「きゃっ、面白そう!」
「まああ、アリッサ、なんてことを言い出すの」
最後のはお祖母さまだ。私は肩をすくめた。
「金額は少額の定額制にします。で、集まったお金は、教会へ寄附。孤児たちへ本やペンが渡るようになるといいんですが。……あと、賭けてもらった方が、戦う方も身が入りませんか?」
寄附……とアルが手を口元に当てながら呟いた。
お父さまも腕を組む。
そこへ、セオドア兄さまの情けない声が響いた。
「う~わ~、賭けてもらって負けたら辛い」
「セオドア。最初っから負けることを考えるな」
「お祖父さま、剣術なら考えませんけどね、リバーシでは無理です……」
うん。セオドア兄さまはあんまりリバーシは向いてなかった。
横でオリバー兄さまも複雑な顔をしている。オリバー兄さまは弱くないんだけど、お父さまがたまにえげつない勝ち方をするからね(どこにも置く場所がなくなるような戦術を取るのだ)。リバーシに苦手意識があるんだろうなぁ……。
ちなみに、お祖父さまはやったことがない。盤のゲームには興味がない!と言い切っているからだ。
それにしても。
なんか本当に開催しそうな雲行きになってきた。適当に思い付きを言っちゃったけど、良かったのかしらん。
「あ、でも、お父さま」
大切なことを忘れてた。
「もし本当に大会をするなら、リバーシの販売権利は手放してくださいね。カールトン商会の販促イベントみたいでイヤですもん」
「わかった」
それでなくても最近のカールトン商会は目立っているらしいから。
慌てて釘を差したら、お父さまは苦笑して頷いた。
最近、ちょこちょこ活動報告を書いています。
どーでもいい報告やら、落書きやら、いろいろ……。
3月31日付の活動報告にはアナベルの呟きを書きましたので、良かったら見てください。




