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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ6才

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秘密が増えてゆく

 魔力瘤治療も3回目になった。

 体の方は特に変わった感じはない。 

 なお今日は、隠者の塔までアルが案内してくれるけど、そこからは他にすることがあるらしくて席を外すそうだ。

 その代わり、帰りは一緒。

 そう、とうとうディとエリオットとアルの3人でパジャマパーティーをする日なのだ!もう楽しみすぎて、かなり前からワクワクしてる。

「じゃあ、また後で」

 塔に着いたら、アルが心配そうに言った。

 治療っていってもただボーっと手を繋ぐだけだし、心配するようなことって何もないのに。というか、ただ待たせるだけは悪いので、毎回、付き添わなくていいんだけどなあ。

「治療でも、男とずーっと手を握ってるのは気になるもんだろ」

「……わたし、ほぼ寝てるのに?」

「お嬢は気が抜けすぎなんだよ。もう少し危機感を持て」

 まったく、もう。

 それ、ウォーレンさんに対して失礼だよ、リック。6才の子供相手に不埒な真似をするような人じゃないって。


 アルがいないからだろう。

 ウォーレンさんはリックに魔術の本を用意してくれていた。

「いえ、お心遣いは感謝しますが、護衛としての任務がありますので」

「ふふ……アルに……め、めめ目を離すなと……い、言われた?」

 ウォーレンさんが楽しそうに目を細める。リックは表情を崩さず、一礼して部屋の隅に立った。

 ……さて、まずはいつものまっっずい薬草茶だ。

「味の改良を要求しまーす」

「か、改良できる……こ、頃に……治療がお、終わって、るよ……」

 ちぇっ。

 お茶を飲んで、しばらくじっとして───ウォーレンさんと手を繋いだ。

「い、一度……確認……し、したかったんだけど」

 しばらくして、ウォーレンさんが急に話し始めた。今までになかったことなので、半分ぼーっとしていた私は返事が返せずに目をパチパチさせる。

「き、君は……も、もしかして、全属性の……まままま魔法を使え……る……?」

「……はい。土と水は初級しか試していませんけど」

「やっぱり……」

 こちらをチラチラ窺っていた灰色の瞳がみるみるうちに曇る。そして、はあと重い溜息をつかれてしまった。

「えーと……何かマズイですか」

「全属性……つ、使えるのは……お、王族だけ……」

「え?そうなんですか?」

「お、王族でも……つ、つつ、使えない人……お、多い」

「はあ」

「属性も……か、隠した方が……い、いいね」

 そっかー。なんだか秘密がどんどん増えていってヤダなぁ。

 隠し事があると、会話も気を使わないとダメなんだもん。挙動不審になっちゃうよ。

「ア、アルにも……秘密……ね……」

「え?!」

「アルに……こ、これ以上、し、し心配ごと……ふ、増やしたく……ない」

 がーーーん。

 ウォーレンさんにそう言わせるくらい、私、アルに心配かけているの?!

「うう、分かりました……苦しいけど、心に秘めます……」

 そう答えてから、はっと背後を振り返った。リックにも口止め……あれ?

「だ、大丈夫……ちょっとだけ……ね、寝て、も、もらった」

 ウォーレンさん、本当にすごい魔法使いだわ。


 ウォーレンさんは、ビックリするくらいアルを大事に思っている気がする。

 そのことを少しだけ聞いたら、恥ずかしそうに俯きながら理由を教えてくれた。

 ……王城へ連れて来られた際、ウォーレンさんはほぼ廃人だったそうだ。そしてそのまま生きる屍として長年放置されていたのを、アルが看病してくれたらしい。看病といっても、二、三度、水を飲ましたり、体を拭いたりといった程度だったようだけど。

 それでも、弟によく似た目が心配そうに見つめているから、なんとか世界が認識できるようになったのだという。

「い、今も……ぼ、ぼぼ僕が、く、暮らしやすい……ように……き、気を配って……くれるから……」

 詳しくは聞けないけど、ウォーレンさんはたぶん虐待を受けていたのではないかと思う。そんなウォーレンさんの心が、アルによって救われたのなら……良かったぁ……。

すみません、“悪役令嬢は穏便に別れたい”の完結で力を使い果たしてしまって、来週の更新は週末頃になりそうです。

なにせ旅行に行く予定もありまして……(一泊だけど)v

お泊り会はきちんと時間を掛けて書きたいので、少々、お待ちください。

その代わり?というか、SSにもならない小話を活動報告に上げます。今夜か、明日夜辺りに。

良かったら、見てください。

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