お祖父さまと手を繋いで冬至祭へ
今年の冬至祭、オリバー兄さま・セオドア兄さまはお父さまの手伝いで忙しく、一緒に神殿には行かないらしい。
淋しいな~。
でも、久しぶりにグレイシー姉さまが帰ってきたので甘える。
「あら?前より甘えっ子になってない?もう6才になったのに」
「まだ6才ですぅ」
「はいはい。さ、髪を結ってあげる。こっちに座って?」
「はぁい!」
グレイシー姉さまはほんわり優しい雰囲気が滲み出てて、こういう大人になりたいなぁっていつも思う。喋り方もちょっとゆっくりしてて、それがまた優しい雰囲気に輪をかけている。
私はどうしても早口になるので、どうしたら姉さまみたいになれるのかしらん。
あ、アナベル姉さまみたいに、チャキチャキっとしてるのもステキなんだけどね。アナベル姉さまはカッコ可愛いのだ。
今年もお祖父さま引率で神殿へ。
オリバー兄さまとセオドア兄さまはいないけれど、今年はリックとテッドが付いて来ている。
「ん?アリッサ、手のひらが硬いぞ?」
お祖父さまと手を繋いで歩いていたら、途中でそんなことを言われた。
「あー……最近、剣を教えてもらってるからかも……」
「何?!剣技を学んでおるのか?なんでじゃ。護身術で十分じゃろう」
「戦うためじゃなくて、剣を持ってる相手に襲われたときのため?」
いやもう、魔法の練習をしないとなると、他で埋めるしかないんだもん。勉強がこれ以上増えるのは嫌だしさぁ。
前世だったら、子供の頃の自由時間なんて遊ぶことに大半の時間を費やしていたと思うけど、今世の貴族の子って一体、何して過ごしてるんだろね?どっちにしろ中身高校生な私には(足すともうとっくに成人)、今さら子供の遊びは微妙だけど。
アルは……確実に勉強と鍛練だろう。ディやエリオットみたいに趣味があればいいのかなぁ。
はぁ、今は切実にスマホが欲しい。そしたら、動画見たり、ゲームしたり、写真撮って加工したり、いろいろ楽しめるのに。
読書もね~、この世界は娯楽本が少ないのよねぇ。かといって、私は書くことに向いてないし。
あああ、このままだと刺繍するしかなくなる~。あれは苦手な人間にとっては拷問だ!
剣技がダメと言われたら、あとは畑か?うーん、正直、それも向いている気はしない……。
乗馬の憧れも今はないし、参ったなぁ。
しかし、お祖父さまは私の手を撫でながら、優しくこう諭してくれた。
「……剣の修行が終わったら、面倒でもその都度、治癒魔法をかけてもらいなさい。女の子が硬い手をしてちゃいかん」
「ケガをしてないのに、かけるの?」
「そうじゃ。その代わり、剣戟の衝撃に慣れることは無くなるが……戦うことが目的ではないんじゃろう?」
「うん」
「では、手を大切にな。それと、日焼けも気にせんといかんぞ」
「はい!」
やっぱり、お祖父さまは大好き!




