魔力瘤の治療開始(薬草茶がまっずい!)
魔力瘤の治療が始まった。
一気に治すのは難しく、春までかかると言われた。王城に1週間ほど泊まれたら、その間で治せるらしいんだけど、お父さまの登城に合わせて不定期での王城訪問になるので仕方がない。
───まずは、まっっっずい薬草茶を飲む。
匂いもヒドイので、鼻を詰まんで飲むけれど、ホントもう、吐きそう。
しかし、リックが容赦なく頭を抑えつけて流し込む。覚えてろよ~、リック!
で、しばらく休んでいると、薬草の効果か、全身がムズムズする感じになる。そしたら、ウォーレンさんと向かい合って1時間ほど両手を繋くのだ。ウォーレンさんが魔力を緩やかに身体中に巡らせているらしい。私的には、特に何も感じない。ただ、なんとなく芯からポカポカしてきて眠くなるだけだ。
「魔力瘤が治ったら、魔法の威力は変わりますか?」
とウォーレンさんに聞いたら、頷かれた。
「な、なな慣れるまで……き、気をつけ、な、ないと……ち、小さな火のつもりでも……あ、辺り一面、ひ、火の海に……なるよ……」
火の海?!
さすがにそれは大問題。
魔力瘤が治ったら、ウォーレンさんが魔法の使い方を特訓してくれるそうだ。学院へ行くまでに、すべて、きちんと制御できるように。もちろん、同時平行で私の魔力量を抑える道具の開発もする。
うん。とにかく頑張ろう。
無いとは思うけど、怒りに任せて街を焼き尽くす羽目にはなりたくない。
治療後は、アルとお茶。
そのときにディとエリオットとの第2回パジャマパーティーに誘ったら、目を丸くされた。
「よ、よよよ良かったね、アル」
ウォーレンさんが珍しくニコニコして言い、アルは赤くなってそっぽを向く。
どうしたんだろ?
……さて私の治療中、アルとリックはこの間の“上手な縛られ方”の話をしていたらしい。
「今度、縄を持ってくるから、僕にも上手な縛られ方を伝授してよ」
「……ええ?なんかアブナイ趣味みたいでイヤですー」
「アブナイ趣味ってゆーか、そもそもお嬢は考え方自体がアブナイからなぁ」
リック、さすがにアルの前でそんな遠慮ない発言は止めて~。アルとお父さまはヤバいの。他の人なら誤魔化して逃げられることでも、誤魔化されてくれないんだもの~。
「ふーん?どんなアブナイ考え?」
ほら。目が剣呑な光を放ちだした。
しかしリックは気付かないのか、私が言い出した暗器の数々をアルに暴露する。
「……暗殺者になるの?」
「なりません!」
だから、自衛手段なんだってば。
「まあ、そうだね。対策は必要だよね。とりあえず、物理攻撃には効かないんだけど、魔法攻撃には防御効果のあるアクセサリーを贈るよ」
「へえ、そういうアクセサリーがあるんですね。じゃ、自分で探します」
「ううん。保養地で危険な目に遭わせたお詫びに僕が贈る」
そんなこと、気にしなくていいのにな~。




