20才過ぎれば、ただの人
夏至祭以降、水龍公爵家のクローディア───ディとは会っていない。なので、ディから冬の社交シーズンには絶対、ヘイスティングス家のお茶会に来てちょうだい!と手紙が来た。
行きたい。
カールトン領と王都では距離があるせいか、遠風話が使えない。久しぶりに会って、いっぱいお喋りがしたかった。
しかし、お父さまは渋い顔だ。
では、カールトン領にディを呼ぶと言えば、もっと難しい顔をされた。いくら四大公爵家といえども、他家の者に我が家の転移陣を使わせられないというのだ。そうなると、王都から馬車で領へ来てもらうことになる。
まあまあの日数がかかるため、警備などのことを考えると賛成できないようだ。
「じゃ、王都の屋敷に招くのは?魔力瘤の治療で王城へ行くんだから、別に構わないでしょ?」
「うーむ……」
アルと私を襲った犯人は不明、保養地への侵入手段も分からないまま。お父さまとしては慎重にならざるを得ないのだろう。
うう、これ以上ゴネるのは我が儘かなあ……。
そしたら、お祖父さまが助け船を出してくれた。
「火龍公爵家がそんな弱腰でどうする!またアリッサを狙う不届き者が現れたら、今度は儂が首根っこ押さえてやるわ」
お祖父さま、カッコいい!
とゆーことで。
ディを王都の屋敷に招くことになった。しかも、極秘裏に招くから宿泊してもらっていいと言う。私が水龍公爵家に泊まったので、ちょこっと対抗心があるのかも知れない。
ただ、お父さまはエリオットまで招く気はなかったようだ。だけど、「2人はセットだから!」と私が力説して、押し切る。
……あ、今度はアルも呼んだ方がいいかしら?前回、仲間外れは寂しそうだったもんね。
お父さまに恐る恐るお伺いしたら、こちらは何故かあっさり許可が下りた。意外~。
ディに手紙を送る。
アルには、今度会ったときに直接話そう。驚くかな?
そのあと、久しぶりに前世のことをゆっくり思い返した。
喫茶メニュー開発をしながら、なんとなく感じたのだ。前世の記憶が薄くなりつつあるな、と。
前世の格言?それとも偉人の言葉だっけ?
子供のときは天才でも、20才過ぎればただの人───みたいなのがあったと思う。
あれってさ、私みたいに前世の記憶を持ってる人のことじゃない?
3~4才まで、産まれる前や赤ちゃんのときの記憶を持ってる子って意外といるらしい。それと同じく、前世の記憶を持っている子もいて、そういう子が小さいときに天才ぶりを発揮するのではないだろうか。だけど、その記憶は徐々に薄れるので、そのうち普通の人になっちゃうという……。
ということで、私も普通の人になってしまう前に、覚えている前世の便利グッズや料理などなど、今世で役立ちそうなあれこれをメモっておこうと思う。誰かに見られたときの対策として、日本語で書いてみようかも考えたけど(書いてみたら、書けた)、もしかしたら日本語も忘れてしまうかも知れない。
なので、本人以外は開けない魔道具の鍵がついた日記帳に書くことにした。
さて……何から書いていこう?前世の役立ちそうな知識っていっぱいあるから難しいなあ。……難点は、便利なモノを知っていても、原理とか作り方をよく知らない場合が多いってことかな。
今年は花粉の飛散量が多いそうです。
そのせいか分かりませんが、例年はそれほどでもないのに今年は花粉症な症状がキツい。
喘息持ちなので、肺が痛いです(涙。ぜえぜえする発作は起きていないのに~……。
あと、鼻詰まりも。
春は嬉しいんですが……
花粉はなんとかしてくれ~~。
同じく花粉症だ!という皆さま。がんばって乗り越えましょう……!




