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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ6才

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魔法コーヒーはいかがですか

結構なボリュームになってしまいました…。

 厨房へ入ろうとしたら、アナベル姉さまが追いかけてきた。

「何か新しいのを試すのよね?私も見てていい?」

 姉さまったら、目がきらきらしてる。でも……

「今日のは、スイーツじゃないし……苦いよ?」

「いいの。面白そうだもん」

 ま、甘いカフェオレなら姉さまも好きかな?上手く出来るか分からないけどさ。

 ───興味津々のシェフ、ジョンに手伝ってもらって、さっそくコーヒー豆らしき種を焙煎する。フライパンを使い、弱火で丁寧に煎る感じ。

 しばらくしたら、細かい薄皮のようなものが飛び散り始めた。

「お、お嬢様!これ、洗って薄皮を取ってから煎るべきだったんじゃないですか?!」

「薄皮があるなんて知らなかったの!」

 ジョンとわあわあ言いながら、薄皮を宙に舞わせつつ煎り続ける。すると今度はパン!と音がした。

「爆ぜた……?そろそろ止めますか、お嬢様?」

「あ、うーん、まだあんまり黒くないから、まだだと思う……?」

 まさかポップコーンみたいに膨れてこないよね?焙煎済の豆しか見たことないから、正しい焙煎がよく分からない……。

 ドキドキしながらも更に煎り、いい感じに全体が焦げ茶色になったところでザルに上げた。

「お嬢様、たぶんすぐに冷ました方がいいですよ。火から下ろしても、しばらくの間、熱は入りますから」

「そうなの?」

 ジョンの提案により、慌ててマシューと一緒にウチワ(みたいな道具。名前は知らない……)で扇ぐ。ますます薄皮が飛び散った。

 厨房はすっかり散らかってしまったが、コーヒー豆はなんとか完成だ。明らかに焦げているものや、焙煎しきれなかったものを取り除く。

 ここで、はたと次の問題に気付いた。

「あ!ミルがない……」

「みる?なんですか、それは?」

 マシューが首を傾げる。

 私はジョンを振り返った。

「この豆を細かく挽く道具ってある?」

「豆を挽くんですか?そうですねえ、すり鉢で試してみましょうか。時間はかかりそうですが……」

 だよねー。

 他に何かいいものないかなあ?

 考えていたら、アナベル姉さまがポンと手を打った。

「豆を粉砕するのよね?待ってて、助っ人呼んでくる!」

 助っ人?どーゆーこと?


 アナベル姉さまは、セオドア兄さまを連れてきた。

「ね、お兄さま!この豆、魔法で細かく砕いてくれない?」

 なるほど!いいアイディア。

 でも、いいのか、兄さまをそんな使い方……。

 セオドア兄さまは期待に満ちたアナベル姉さまと豆を見比べた。

「えっ……それ、ちょっと難易度高くないか?」

「風の魔法でピュンピュン!と砕けるでしょ?」

「豆を砕くなら極少範囲で一定速度の回転をさせた方がいい。広域に思いっきり一閃させるなら得意だけど、調整しながら小さくまとめるのは……苦手なんだよなー」

「え~~~」

「……オリバー兄上を呼んでくる」

 ───ということで。

 厨房はすごいことになり始めた。

 セオドア兄さまがオリバー兄さまを呼んだら、何やら面白そうなことが行われていると、お父さまやお祖父さままで見物に来てしまったのだ。

「なんだ、セオドア。こんな豆の粉砕くらい、ささっとこなさんか」

「無理です、お祖父さま!めっちゃ飛び散りますよ」

「わしが補助をしよう。練習だ!」

「えーーー?!」

 うーん、カオス。

 オリバー兄さまが豆を砕いている横で、お祖父さまに助けてもらいつつ同じく豆を砕くセオドア兄さま。そして、お父さまは……

「あ、そろそろいい感じです、閣下」

 なんとジョン指導のもと、空中でコーヒー豆を煎っていた。

 さっき煎った分だけでは量が少ないので追加焙煎しようとしたら、お祖父さまが「マックス。お前はそれを魔法でやれ」と言い出したからだ。

 これで美味しく出来たら……カールトン家マニュファクチュアコーヒーだね。超高級品だよ。


 最後の難関は、ドリップ。

 小さいザルの上に食材を絞ったりする布巾を敷いてみた。これで抽出が出来ると思うんだけど。

 みんなが見守るなか、ゆっくりとお湯を注ぐ。

 ふふん、コーヒーは、前世で親がこだわっていたから淹れ方は分かるのだ。

 ふわっと豆が盛り上がったら、しばらく蒸らす。で、蒸らしたら細い水流で静かにお湯を注ぐ。真ん中が泡立った。いい感じだ。

 そのまま、コーヒーが抽出されるのを待ち、半分ほど減ったら再度、お湯を注ぐ。

 3回ほど繰り返して、終わり。

 ───抽出された真っ黒な液体を、みんなが固唾を飲んで見つめる。

 代表して、マシューが口を開いた。

「これ……飲むんですか?」

「うん。このままでも飲めるけど、最初はキツイんじゃないかな。でも、眠いときに飲むと目が覚めるんだよ。あと、頭痛も軽減するかな。……これにねー、砂糖とミルクを入れると美味しいの」

「……そのままで飲んでみたいです」

 おお!マシュー、チャレンジャーだなあ。

 でも結局、私以外、全員が一口ずつブラックコーヒーを飲んだ。

 お父さま、セオドア兄さま、マシューは「まあ、悪くないかな?」という顔だ。う~ん、ブラックで飲めるなんてカッコいい。

 なお、砂糖とミルクを入れたものは、アナベル姉さまとお祖父さまがとても気に入っていた。

「いいわね。私、紅茶より好きかも!」

 砂糖なし、ミルクのみが気に入ったのはオリバー兄さま、セオドア兄さまとマシューだ。

 お父さまは、迷いに迷った末、ブラック派になったようである。

「この飲み物は奥が深くていいな。マシュー、継続して豆の輸入をお願いしていいか?店で販売するのはまだ難しいが、我が家での飲み物に加えるのは良さそうだ」

「はい、閣下」

 ひゃっほ~、これからはカフェオレが飲める!こうなると、なんとしても生クリームも手に入れたいなあ。○ターバックス的なやつを作りたい……。

 その前に、コーヒーミルをつくらないとね。毎回、兄さまに魔法で粉砕してもらうわけにはいかないもの。石臼なら、なんとかなるかしらん……?

ちなみに私はブラック派。でも、甘いカフェオレも好きですv


カールトン一家による魔法コーヒー、一杯いくらなんだろー。あと、アリッサの適当焙煎具合から、美味しく出来たか謎……。

もっともこのあと、ジョンが研究を重ねます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 時価ですねきっと(笑)
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