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もしかして悪役令嬢 ~たぶん悪役令嬢なので、それっぽいフラグを折っておきます~  作者: もののめ明
アリッサ6才

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マシューとテッド

 去って行ったリックを悲しく見送っていたら、マシューが深々と頭を下げた。

「不快なお気持ちにさせてしまい、申し訳ありません」

「あ~……うん、マシューはリックを思って厳しいことを言ってくれたのは分かってるから」

 一瞬、マシューに当たりそうになったけど、ぐっと堪える。

 私の身近な人達には、出来れば身分とか立場とか拘らないで欲しい。だけど……リックは即座に態度を改めた。白くなるほど拳を握り締めて。

 たぶん、リックはこれから先を考えているんだろう。リックはいずれ護衛として、私と共に学校へ行く。貴族でいっぱいの学校へ。そこは、礼儀作法が重要な場だ。

 それを理解しているからこそリックは頭を下げた。私は、そのことをちゃんと受け止めなければ。

 ただ。

「ねえ、マシュー。わたしにもさ、マナー不足な部分っていっぱいあるでしょ?遠慮なく注意して欲しいな」

 そもそも私も問題ありまくり……。

 なかなか前世の庶民感覚が抜けないから、指導して欲しい。すると、リックは溜息をついた。

「あー……そちらに関しては……公爵閣下がお嬢様は自由にのびのびさせるという方針ですので……僕にはちょっと……」

「ええ~?」

 放任主義かと思っていたお父さま、実は娘に甘々だったの?!初めて知ったわ。

 いや、でも貴族として礼儀がなってないのは問題なのに……。

 ぶつぶつ呟いていたら、マシューは頭をかいて赤くなった。

「でも……リックに厳しい言い方をしてしまったのは、僕の嫉妬もあります。公爵閣下に評価されていることと……彼、お嬢様の右腕は自分の方だ!って目をしていましたから」

「マシュー……」

 思いがけない告白に、胸がじーんとした。

 え?それってマシューは“自分こそ私の右腕だ”って思ってくれてるからよね?

「うわ~、うれしい!マシューってさ、いい男だよね。わたしみたいな変な主に、勿体ないくらい」

「な、ななな何を言い出すんですか?」

「だって嫌われ役になるお小言でもちゃんと言ってくれるし、隠しておけば分からないのに、今みたいに自分の弱い部分だってさらっと打ち明けてくれるし。わたし、マシューのことは本当に頼りにしてるんだよ。わたしには勿体ないけどさ~、他へは行かないでね」

 だってマシューがいなかったら、私の欲しいものはほとんど手に入らない。

 うう、欲まみれな主でゴメン!

「お嬢様は買い被りすぎです!それと、あんまり軽々しくそういうことを言っては駄目です」

「誰にでも言わないも~ん」

「はー……お嬢様はホント、人たらしだなぁ……」

 ええ?なんか妖怪みたいに言われてるよ、私……。


 この際なので、マシューにはテッドも紹介しておく。

 庭で訓練中だったテッドは、呼んだら勢いよく駆けてきた。マシューを紹介すると、

「マシュー様、テッドです、よろしくお願いします!」

 元気いっぱいに敬礼する。リックとすごく似てる顔立ちなのに、受ける雰囲気は正反対。まるで小犬みたい。ぶんぶん振ってる尻尾が見える。

 ただ、その体はビックリするほど痣だらけだった。

 私は思わず詰め寄ってしまう。

「ちょっとテッド!痣だらけじゃない!」

「うーん、オレ、まだ身体強化が継続してうまく使えないんだ。ちょっと油断するとすぐ切れちゃってさぁ」

「いや、訓練、厳しすぎるでしょ。これヒドイって」

「だいじょーぶ、だいじょーぶ。あんまりヒドイのは回復魔法かけてもらってるから」

「そ、そーゆー問題じゃなくてね……」

「バッカだなー、お嬢。ちゃんと鍛えないと護衛にならねーじゃん。ねーちゃんみたいに、剣を受け止められるくらいにならないと」

「……手や体で受け止めて欲しくないんですけど」

「分かってるよ、素手は最終手段。ちゃんと剣術や棒術も極めるから。強くなるってすげー楽しいし、お嬢は気にしなくっていいって。……あ、じゃあオレ、もう訓練に戻るから。マシュー様、失礼します!」

 テッドは言いたいことだけ言って、さっさと訓練に戻ってしまった。

 マシューは……「全然似てない兄弟ですね」と目を白黒させていた。

マシュー:(しまった!テッドにも言葉について注意するべきだったのに、タイミング逃した…)

真面目。

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