え?また来たの??
誕生パーティーで王子が昏倒し、その後は大騒ぎだった。
お母さまはオロオロ、兄さまは大爆笑、お父さまからはお叱り……でもまあ、これで婚約の話は立ち消えたハズ。
無事、任務遂行できた満足感に浸っていたら、翌日、なんと王子がやってきた。
どうして?
「昨日は、君に恥ずかしいところを見せてしまって……」と赤くなっている。
いやいや、そこは「あんな女、冗談じゃない!」て怒るところじゃない?なんでわざわざ私のところまで来て、恥じらうの?
だけど、お母さまは失態を取り返すチャンス!とばかりに大歓迎で王子を迎えた。
「昨日は途中になってしまったから、続きを案内してくれないかな」
という王子のお願いも、どうぞどうぞと聞いてしまう。
くっ……二日続けてカエルはダメだよね……今日はどうしよう?さすがにイモ虫は私も素手で触れないのよねえ。
昨日倒れた池まで来たとき、王子が「あ、カエルがいますね」と澄ました顔でおっしゃった。
「昨日は、急なことだったので驚いてしまいましたが……落ち着いてみると、可愛いものですね」
お?
すっと手を伸ばし、岩の上にいたカエルを拾い上げる。
その躊躇いのない動作に驚いたけど。
……よく見たら、ちょっと涙目になってるじゃん。手も微妙に震えてるし。
プライド高いなー。
もしや、昨日はビビってないよと言うために、わざわざ来たのかしらん。
「アリッサ嬢は、カエルがお好きなのですか」
「いえ、おもしろい生き物だなあと きょうみがあるだけです」
「カエルが?」
心底、理解できないという顔になったので、一応、カエルの不思議を説明してあげることにした。
「おもしろいですよ。だって、子どものときは、エラこきゅうなんです。つまり魚といっしょ なんです。それが、大人になると、わたしたちと 同じ はいこきゅう。足や手だって、とちゅうで生えちゃう。イモ虫がチョウになるのも ふしぎですが、【りょうせいるい】のような変わりかたは、とても ふしぎです」
王子は驚いたように目を見張って、「そうなんですか……」と呟いた。
そのとき、次のいたずらを思いついた。
「そうだ、アルフレッド王子!わたしの とっておきの場所に ごあんないします」