二度目のパジャマパーティー
ディナーでは、母上とコーデリア様のお喋りがすごかった。口を挟む隙もない。恐らく昼間もずっと話していただろうに、まだ止まらないとは感心する。口が疲れないんだろうか……。
話の流れで(というより、母上は聞きたくて仕方なかったのだろう)、アリッサが水龍公爵家に泊まった件の詳細を聞いた。
エリオットとクローディアの3人で寝たらしい。コーデリア様の目が尖り、母上も「まあっ!」と眉をひそめる。
……ここにウィリアムがいなくて良かった。あいつがいたら、「こっちは2人っきりですよね~」なんて要らないことを暴露したと思う。
───アリッサは一瞬、僕の方を見た。だが、すぐにコーデリア様を真っ直ぐ見据えて満面の笑みを浮かべる。
「お母さまが友達ならパジャマパーティーするものだっていいましたよね?だから今日は、アルとパジャマパーティーしようと思ったのに~」
───すごい。策士だ。
この頃、アリッサの微妙な表情が読めるようになった気がする。こういう、無邪気さを装っているときは要注意だ……。
結局、本当にアリッサとパジャマパーティーをすることになった。
一応、侍女が部屋に控えるらしい。
パジャマパーティーの会場は、天窓のある屋根裏部屋だ。昔の王女が作らせた部屋で、“星見部屋”と呼ばれている。
天窓の下には、大きな寝台。ここに寝転がって星を眺めるのだ。
アリッサは部屋に入るなり、勢いよく寝台に飛び込んだ。「うわ~、うわ~、すごい!」を連呼しながらゴロゴロと転がる。うーん、この保養地に来てから、アリッサがいつもより幼くなったような?それだけ僕に対して心を開いてくれている……のだと嬉しいけど。
さて。
僕はドキドキしながら、渡そうと用意していたアルカスターの守り刀を取り出した。楽しげに転がっているアリッサにそれを渡す。
アリッサはすぐに起き上がり、首を傾げながら受け取ってくれた。丁寧に箱を開ける。
「これ……」
「気に入らないかな?」
火龍公爵は、贈り物の色の意味をアリッサに教えただろうか?
アリッサは魅入られたように、守り刀を見つめている。
沈黙が不安になり始めた頃、アリッサは顔を上げてブンブンと首を振った。
「キレイな色で見惚れました。この色、すごく好きです!」
!!
「青って幸せを運ぶ色って言うし……私もこの守り刀、ずっと身につけますね」
……アリッサはやっぱり贈り物の色の意味を知らないような気がする。火龍公爵、言ってないのか。ホッとしたような、残念なような。
それでも、面と向かって僕の色が好きだって言われたら……勝手に顔が赤くなるのは仕方ないことだと思う……。
惚れてまうやろ~(古っ;笑)




