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王子さまが誕生日のお祝いに来ちゃったよ…

 ちょっと疲れたなー、休憩したいなーと思い始めたときだった。

 入口辺りがざわざわとしてきた。

 お母さまが「いらっしゃったわね」と戦闘開始の笑みを浮かべて、そちらへ目をやる。

 誰が来たんだろう?

 ふと、嫌な予感が走った。

 ───果たして。

「アルフレッド・ハノーヴァーです。お目にかかれて光栄です、アリッサ嬢」

 出た~~~!まさかの、この国の第2王子!!

 そっか、お母さまって王妃さまと同級生で仲が良いって言ってたっけ。その関係で、王子がお祝いに来たのね。

 金髪青瞳、まさに理想的な天使的容貌のキラキラ王子。私より1つ年上の6才だったような。

 お母さまが大袈裟な笑みを浮かべて、王子に挨拶する。王子は私の誕生祝いを述べる。

 私もとりあえずカーテシーをし、王子に初めてお会い出来てこちらもうれしいだの、お祝いをありがとうございますだの無難な台詞を返す。

 あ、王子も、やや面倒そうな空気が漏れてるわ。そうよねー、全然知らない子の誕生日を何故、わざわざ祝わなきゃならないんだって思うよねー。

 私たちの全く心のこもらない挨拶を横から見ていたお母さまは、妙に満足そうに頷き、続いて突然「王子に庭を案内してさしあげて」と来た。

 ちょっと、ちょっと、ちょっと!?

 王子の来訪はお母さまの交友に関係するだけで何の意味もないって思ってたけど、もしかしてこれってお見合いってゆーか、第2王子と婚約する体で話が進んでるってこと!?

 お母さまだけじゃなく、侍女たちも思わせぶりな顔で頷き合っている。王子の側近も。

 うわー……、私の勝手な思い込みじゃないよね?

 婚約しちゃったら……これは絶対、乙女ゲーム定番、将来は婚約破棄イベントが待ち構えてるってことだよ。

 いや、冗談じゃないわ。

 全力で今のうちに婚約不成立を目指さなきゃ。

 ───てワケで、王子と庭を散策する際、王子がこの子とは結婚したくない!と言い出すよう、嫌がらせをすることにした。私が言っても聞いてもらえないだろうけど、王子から言い出せば、問題ないはず。そして5才の今なら、多少のいたずらで不敬だと処罰されることもない……と思う。

 さて、何がいいだろう。

 お互い、今日はいい天気ですね、この花はキレイですね、と上辺だけの会話をしながら、庭の真ん中辺りまで来た。

 よーし、まずは初歩から始めるか。軽く引いてくれるといいんだけど。

「あ!王子、見てください!」

 私は無邪気な声を上げながら、池のほとりにいたカエルを掴みあげた。さっと王子に手渡す。

「とっても可愛いカエルがいました!」

 王子は笑顔のまま……気を失って倒れた。

 ……え?

 ちょっと効きすぎじゃない?

 お前はか弱い乙女かっての。

ようやく登場の王子。

でも、ロクな扱いをされていません。この後も受難は続きます。

ごめんよ、王子……。


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