悪役令嬢に似合う淡くて可愛い色はないと思うの
収穫祭が終わり、しばらく経った頃、私は5才の誕生日を迎えた。
今年の誕生日は、王都にあるカールトン邸で誕生パーティーが開れる。付き合いのある有力貴族にアリッサをお披露目するというワケだ。
お母さまがかなり張り切っている。
ところが張り切りすぎて、
「アリッサの愛らしさを余すところなく披露しなくちゃ!」
と用意したのがあまりにもフリフリで豪華なピンクのドレスやゴテゴテの装身具だった。私は思わず仰け反ってしまう。
これはダメ。こんなんを幼少時から着せていたら、そりゃ、どこから見ても一目瞭然な悪女に育つって。お母さま自身はちゃんと似合うドレスを着ているのに、何故、こんな選択になるの?!娘の容姿をちゃんと把握してる??
仕方ないので、生地商やデザイナーを呼び、私が自分で似合う色の生地やデザインを選択することにした。
白一色のドレスはデビュタントの時に着るものらしいので、真珠色の生地をメインにやや赤が入ったグレイの生地をアクセントに入れてゆく。「灰色ですか?!」と生地商にもデザイナーにも驚かれたけど、この派手な髪色に合う色が少ないんだから仕方ない。たぶん、皆、子供だから淡い色合いを着せたいのだと思う。でもねー、私はわりと目付きも鋭いから、コレジャナイ感が出るのよ。
これでもう少し大人になったら、濃紺や黒もカッコいいんだけどなー。(いや、それだとますます悪女っぽいか?)
ドレスの飾りは少なく。ただ、生地は上等なものを使い、薄い紗の生地を重ねて、シンプルだけど豪華に。
装身具もほとんど着けない。代わりに、髪に真珠を編み込んだ。この髪がネックレスやイヤリングの代役をするのだ。
仕上がった姿を見て、お母さまや姉さまどころかデザイナーまで大絶賛。
「お嬢様は、デザイナーの神です、いや、創造の神です!」
言い過ぎだと思うけど、褒められたら悪い気はしないね。
パーティーは盛大だった。
外国からもお客様は来ているようだ。お父さまの商売関係の繋がりらしい。
ということは、そのうち、外国語も覚えた方がいいのかしらん。英語、赤点に近かったから、修得出来るか自信ないけど。
とにかくこのパーティーには、色んな人がお祝いを述べにくる。どこの誰か、覚えようとしたんだけど、全然覚えられなかった。
うう、メモとペンを頂戴……。横文字の名前なんて、1回聞いただけじゃ覚えられないよう。(私も横文字の名前だけどさ!)
次話は、とうとう王子登場です!
ということで、明日から1日1回の更新になります。
でも、まあまあサクサクと書けるので、書き溜められるようなら1日2回更新にしてみようかなぁ…と考えています。