第1話 個性の無い少年
始まりはいつも、唐突に訪れる。
希望が崩れる瞬間も、また然りだ。
誰かが言った。この世界は残酷だと。
善悪を問わず、死や不幸は誰にでも訪れると。
だから僕は今日も、自分の為に嘘を付け続ける。
――何故って?
それは僕が、ダウトロードだからだ。
――逆にそれ以外の理由が必要かい?
そしてこの、ありきたりなショーが始まった。
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僕には生まれつき個性が無い。
何処かのヒーロー漫画とは違い、総人口の役∞割が個性を持っているとかでもない。
例えば、クラスが30人の教室があったとしよう。その中には陽キャが5人居て、平凡的な人がざっくりだけど20人位居る。
そして、残りの5人はこのようになる。
〜選ばれし5人〜
クラス1の美少女
クラス1の美少年
クラス1のデブ
クラス1の陰キャ
そして、クラス1の「孤立者。」それが僕だ。
虐められるのでも無く、話しかけても無視される訳でも無い、唯一無二の孤独者だ。
世間一般では、ぼっちなんて名前が付いているが、僕は絶対に認めない。多分一生――絶対にだ!
そのな事を考えていたら、先生がここへ向かって来た。
「なんで課題の提出をしないんだ。」
「すいません。」
僕と先生は、いつもと同じ問答を繰り返していた。
課題なんか、ある方が悪い――そんな心の声を胸に秘めながら僕は、先生のいつもの話を聞いた。
「今度の夏休みの課題、終わらせて来るんだぞ。」
そんなこんなで釘を打たれ、僕は渋々返事をした。
――本当に課題なんて無くていいのにな。僕はいつものように帰る支度を始めた。
帰る時でも、誰にも話しかける事も、話しかけられることも無く僕は帰った。
見る人が見れば、寂しく見えるのかも知れないが、そんな事は無いから誤解しないで欲しい。
本当に、そんな事思ってないし・・・
――そんな事は置いておいて、もうすぐ家に着きそうだ。
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