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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第五章
83/84

平凡に不気味

其の82






突然の土下座に戸惑うコウソンタン将軍だったが


『そんなことを今出来ることの意味を理解してるのか?』


チョウ妃の冷やかな言葉にホートさんは土下座したままの姿で背中を一瞬震わせた。

コウソンタン将軍がチョウ妃に言葉の意味を問うような視線を向けると


『戦場で最善を尽くすのは当然。では何故か?それは誰しも死にたく無いのでは?死を恐れずに闘うのは死んでも良いと同じでは無いはず。戦場での死とは常に隣り合わせの状況。そのような状況を覚悟が足りない者がたまたま生き延びて、今更ながら謝罪している事がどれだけ幸運なのかわかっておるのかの?謝罪する相手が生きている事がどれだけ幸運なことか』


チョウ妃の言葉に何も言い返せないホートさんは土下座の姿勢を崩さない。

確かにチョウ妃の言い分は正しいと思う。

だが、本格的には初陣にも等しいホートにそれだけの覚悟を期待するのはどうだろう?

ホートさんだって、決して手を抜いた訳では無いだろうし…

幕舎の重苦しい空気の中


『チョウ妃殿。そのくらいでホート殿を許されては?責任は指揮官たる私が一番に負うべきなれば』


コウソンタン将軍の言葉に返事をしないチョウ妃であったが、それ以上は何も言わず幕舎から出ていった。

俺は何も言わずホートさんの背中をポンポンと叩いて幕舎を出ると


『坊っちゃん!』


クーネルが俺を呼び止めるが


『ホートさんを頼んだよ』


振り返らずにそう言ってリュウビと共に幕舎を後にした。




◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆




自分達に割り当てられた幕舎に入ると、チョウ妃がムッとした表情で座っている。

俺とリュウビがその光景にどうしたものかと、顔を見合わせているとリョウ君がやってきた。

リョウ君の登場でチョウ妃の表情が少し緩む。

リョウ君は場の空気を読んで、何事も無かったかのように先ほどのソウソウ一行のその後を報告してくれた。


ソウソウ一行は一度セイシュウ城に戻るのだが、一緒にスウセイ将軍もセイシュウ城に向かうらしい。

その際、俺達も一緒に来て欲しいとの事だ。

実際にセイシュウ城から赤頭巾を追い払ったのは俺達なのだから、当然そうなる訳だ。

なんとなくチョウ妃が渋るかと思っていると


『そうか』


それだけ言って了承した様子。

先ほどまでのような不機嫌さはないが、逆にそれが不気味にも感じてしまうのは俺だけだろうか・・


その日のうちにセイシュウ城に向かってソウソウ一行と俺達はユウ州軍の本陣を後にするのであった。

次回投稿予定【8月30日】

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