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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第五章
82/84

平凡に微笑

其の81






『もう良いな』


静まり返った幕舎にてチョウ妃が一同を見回しす。


ソウソウ一行は何も言わない。

先ほどのカコウトンとの手合わせで、まざまざとチョウ妃の実力を見せ付けられては、何も言える筈が無かった。

ソウソウ一行の無言により昨夜の説明を終えたと理解したチョウ妃は


『コウソンタン将軍。そっちの報告を聞きたいので付いてきてくれ』


そう言って、コウソンタン将軍を見た後、ソウソウ一行には目もくれず幕舎から出て行ってしまった。

俺はコウソンタン将軍と目が合ったが、お互いに無言で頷いてチョウ妃のあとを追った。


ユウ州軍本陣の数ある幕舎の一つに俺とリュウビ、チョウ妃、コウソンタン将軍そして、ホートさんとクーネルの姿があった。

リョウ君は未だ、スウセイ将軍と共にソウソウ一行の相手をしているので不在だ。


『で?大体の予想はつくが、一応聞かせてくれるか?』


そう言って、チョウ妃はホートさんに冷やかな視線を向ける。

ホートさんは俯いたままだ。

ホートさんの後ろに立っているクーネルは明らかにオドオドしている。

そんな二人を見ながらコウソンタン将軍が、撹乱作戦の報告をしてくれた。


コウソンタン将軍から一通りの報告が終わると、黙って聞いていたチョウ妃が


『予想通りの内容だな。…いや、報告の内容からしたら、セイシュウ城に来た赤頭巾の数を考えると、コウソンタン将軍が巧く立ち回ったと言えるな』


微笑を浮かべるのチョウ妃だが、背筋に寒気を覚える微笑だ。


『で?ドアーフ様から何か意見は?』


チョウ妃が微笑のままホートさんに問うが、明らかに目は笑っていない。


俯いたままのホートさんだったが


『わ、私は最善を尽くしました』


小さな声で答える。


『はぁ~?最善?』


俯いたままのホートさんを下から覗き込むようにチョウ妃が再び問うが、ホートさんは何も言わない。


黙ったままのホートさんを暫く眺めていたチョウ妃だったが


『フン』


と鼻を鳴らすと


『どうせ、炎魔法がショボくて赤頭巾に反撃されそうになったのが顛末だろな。それを最善と言われたら、共に戦ったコウソンタン将軍達は危ゆく捨て駒になるとは考え無かったのかの?』


それでも無言のホートさんにチョウ妃が続ける。


『戦場にて最善を尽くすのは当たり前だ。敵だってむざむざ死にたくないのだから、必死の抵抗だってするだろう。圧倒的な兵力差でも無い限り、互いに死力を尽くして戦うのが戦場であって、手を抜いたのなら逆に殺られる。殺るか殺られるかの覚悟が足りない奴がいたら、作戦なんぞ成功するものも、しないのが道理だわな』


先ほどより下を俯き無言のホートさんにチョウ妃が更なる追い討ちをかける。


『貴様には本気の覚悟が圧倒的に足りん!女王候補の時も、魔剣作りにもだろうな。覚悟が足りない奴が仙人様に弟子入り?笑わせるな!』


声を荒らげるチョウ妃だったが、それまで俯いたままだったホートさんの視線がチョウ妃に向くと


『本気の覚悟…』


そう言ってチョウ妃と対峙したホートさんだったが、急に椅子から飛び降りるとコウソンタン将軍に向かい


『この度はスミマセンでした』


謝罪の言葉と共に土下座をしたのであった。

次回投稿予定【7月31日】

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