平凡に珍問珍答
其の79
目を閉じたショカツリョウは
「シュウソウさん。仙人様達はお目覚めでしょうか?ちょっとこっちの状況がややこしくなりそうなので、出来たらこちらに来て欲しいのですが…」
念話でシュウソウに問い掛けると
「… … 仙人様はまだお休みのご様子ですが、旦那様は既にお目覚めのようです。旦那様にお伝えしますか?」
との返事に
「お願いします」
とだけ答えだ。
その場で目を閉じて黙ったままのショカツリョウを訝しげな眼差しでソウソウは見る。
当然、ショカツリョウが何をしているのかは皆目見当が付いていない。
暫しの沈黙がその場を重苦しい空気にしたが、パッと目を開いたショカツリョウが
『半刻後にこちらに来られるそうです』
と藪から棒に言い放つ。
ソウソウ一行とバリョウはポカンとした表情で何を言っているのか全く理解出来ていない。
『な、何がですか?』
ソウソウがやっとの思いで口から出た言葉だ。
逆に話が通じないソウソウを訝しげに見詰めるショカツリョウ。
『ですから、チョウ妃殿達が半刻後にこちらに来られるそうですけど…』
そう言ってスウセイ将軍に助けを求めるように振り向く。
スウセイ将軍は、ショカツリョウが念話で話をして、チョウ妃達が転移してくるのが半刻後だと理解しているので
『ソウソウ殿。詳しくは半刻後でよろしいかな?』
と、後は当人同士でどうぞとばかりに笑顔だ。
『ちょっ、ちょっとお待ちを!確か、その仙人の弟子と名乗る者達は今は北魔の森で休んでいると言いましたな?』
慌ててソウソウが聞き直すと
『そうです』
至極当然といった顔でスウセイ将軍が頷く。
『もしや、この近くに私の知らない北魔の森と呼ばれる場所がお在りか?』
再びソウソウが問うと、少し考える素振りのスウセイ将軍がバリョウの方を見る。当のバリョウがブンブンと顔を左右に振って否定の意を認識すると
『私もそのような場所は知りませんが?』
となんとも不思議そうに応える。
そんな珍問珍答のやり取りに業を煮やしたソウジンが
『あぁ~ だから!ソウソウは北魔の森から半刻でここに来られる訳が無いって事だろ?そもそも何で急に半刻後にここに来るって分かるんだよ!』
立ち上がって語気を荒げる。
そんなソウジンの態度に怯えた表情のショカツリョウが
『先程、ここへ呼べと仰ったではないですか…』
か細い声で答えると
『何!?』
と威圧的に睨むソウジン。
そんなソウジンの態度を
『ソウジンもう良い。半刻待てば良い事だ』
そう言って諦め顔のソウソウはソウジンを座らせた。
◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆
『婆ちゃん起きてよ』
まだ目が覚めていない婆ちゃんに声をかけるが、なかなか起きない。
『リョウ君が、来て欲しいって言ってるよ』
そう言って身体を揺らすと
『あ゛!?』
酷く機嫌が悪そうに睨んできた。
『だから、リョウ君が来て欲しいらしいよ。何かあったんじゃない?可愛い弟子の頼みだよ。だから早く起きてよ』
そう言って身体を再び揺らすと
『チッ』
舌打ちをしてようやく婆ちゃんがご起床だ。
当然不機嫌極まりない。
『とりあえず半刻後ぐらいで良い?』
到着予定を確認すると
『あぁ』
と不機嫌極まりない返事が返ってきた。
なんか面倒な事にならなきゃ良いけどと思いながらも、シュウソウには半刻後に行くとだけ伝えておいた。
俺とリュウちゃんは既に起きていたので簡単に身支度を整え婆ちゃんが身支度を終えるのをお茶を飲んで待ってると、鎧姿の完全武装でチョウ妃が現れた。
『カンや。お前達はそのままで行くつもりか?』
普段着の俺とリュウビを見てだと思うが、カンウの姿には今日は成れないし、昨夜で戦のケリは着いているので問題無いとの旨を伝わると、少し考える素振りしてから
『フン。まぁええじゃろ』
そう言って転移魔法を発動させた。
◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆
転移先は昨夜コウソンタン将軍に捕虜を託した場所なので、ユウ州の本陣迄は少しある。
昼間に改めて見るとセイシュウ城の近くはまだ昨夜の戦いの跡が生々しかった。
コウソンタン将軍やホートさんも捕虜を率いて本陣に向かったのか、近くには見当たらない。
近くに味方でも居てくれたら、馬で移動も出来たのだが、どうやらそういった出迎えは無さそうだ。
仕方がないので、本陣に向けて歩き始めようとすると
「シュウソウ!馬!」
不機嫌そうなチョウ妃が念話を声に出して怒鳴った。
どうやらこの場で馬の到着を待つらしい。
それから暫くして馬を連れたユウ州兵がやって来たが、結局俺達が本陣に着いたのは半刻をずいぶん過ぎた時間になってしまった。
次回投稿予定【6月29日】




