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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第五章
76/84

平凡に丸投げ

其の75






想定以上の投降兵の処理に俺達は苦慮していた。

セイ州の者に任せるのが一番なのだが、散々城を包囲され苦しめられた被害者がまっとうに捕虜を扱うかは甚だ微妙だ。

寧ろ、見せしめのような事をする可能性の方が高い。

とりあえずは魔法障壁の中に押し込んで自由を奪ってはおくのだが、たった3人と雀一羽で捕虜をいつまでも監視など出来るはずもなかった


そんなタイミングでシュウソウがリョウ君からの伝言を伝えて来た。


『敗走し迫る赤頭巾に対し、横陣で多くの松明を用意して対峙したところ、戦闘には至らなかった』


とのことだった。

その報告にチョウ妃は


『リョウは出来る子じゃのぉ~』


と、ご満悦の様子だ。


『シュウソウ!出来損ないのドアーフは今どの辺じゃ?そろそろ合流出来る頃合いじゃろ?』


チョウ妃の問いにシュウソウは


『コウソンタン将軍の部隊はチョウ妃様の魔法を確認した辺りから、進軍速度を落として周囲を警戒しながら進んでおります。もうすぐ肉眼で確認出来るかと思います』


夜中なのに的確な報告をするシュウソウ。

普段のポンコツ悪魔はわざとか?等と疑いたくなる優秀っぷりだ。


それからシュウソウの報告通り、コウソンタン将軍の部隊が俺達に合流した。

開口一番


『カンウ殿。この度の失態。申し訳ない』


俺に謝るコウソンタン将軍だが、そもそも作戦自体が無茶な作戦だったし、無事セイシュウ城も解放出来たのだから、俺的には結果オーライで全然良かったのだがチョウ妃が


『ほぉ~。将軍の失態なのか?ドアーフがヘタレだったのではないのか?』


醒めた感じで問いただす。


『ホート殿は良くやってくれ…ました。全ては指揮官として私の失態です』


あくまでも自分の責任を主張するコウソンタン将軍だったが、ホートさんの顔色は明らかに悪い。


『ふん。それなら捕虜は将軍に任せるか…の。セイ州側に引き渡すのはとりあえず無しで。それから、セイシュウ城への報告も併せて頼むかの。もろもろはユウ州軍本体と合流してから巧く頼む。それじゃ、先に休ませて貰うぞ』


ホートさんを(なじ)るかと思ったが、頼むと言いながらの指示を矢継ぎ早に告げて俺達はチョウ妃の転移魔法で戦場を後にした。


まさに丸投げだった。




◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆




セイシュウ城よりの救援要請を受け、セイシュウ城に向かう軍があった。

ソウソウ騎督尉が指揮するゴゥキン帝国の正規軍。

全員が揃いの鎧を身に付け、隊列を整えて進軍する様はこの軍が高度な訓練を受けている事が伺われる。


セイシュウ城よりの救援要請をソウソウが受けたのが5日前。

そこから進軍速度を上げれば、セイシュウ城には既に到着していたのだが、ソウソウはそれをしなかった。

理由はいくつかあるが、一番の理由は正規軍が敗北するリスクを避けたからである。

諸侯に発せられた勅命により、赤頭巾の討伐軍が各地よりキョロクに向けて戦いを繰り広げていた。

兵の数では討伐軍が上回っていたが、赤頭巾はこれまで実戦を戦ってきた経験がある。

実際、戦に馴れない諸侯の軍が少数の赤頭巾に敗北した為今の状況になっていた。

それが皇帝の勅命で集められた討伐軍の主力である自分たち正規軍が、序盤戦での敗北は全体の士気にも関わるのでソウソウは慎重になっていた。


ソウソウ。

宦官であり、元九常侍であるソウトウが養子に迎えたのがダークエルフ種であるソウエイ。

その息子として産まれたのがソウソウである。

幼い頃より英才教育を受け、ダークエルフ種として魔法の才能を開化したソウソウは、リュウベン、リュウキョウ兄弟の幼馴染みでもあった。

リュウベンが皇帝に即位すると、ソウソウも若くして帝国中央の導士として頭角を表す。

また武芸、特に種族適性である弓の腕前もかなりのものであった。

祖父ソウトウの後ろ楯もあり帝国内でソウソウは出世街道を進んでいたが、「出る杭は打たれる」のが世の常。

宮廷警備隊に所属していた時にリュウベンの暗殺が起こった。

後宮での暗殺を未然に防げなかった責任で、当時の宮廷警備隊は全員罷免。

ソウソウはチョウアン城北門の門番となっていた。

しかしながら、生真面目な性格と高い能力、何より兄の後を継いだリュウキョウへの忠誠心から北門周辺の治安は瞬く間に安定していった。

そんな折りに赤頭巾の反乱が発生し、正規軍の指揮官の1人として騎督尉に抜擢されたのである。


セイ州兵との戦い赤頭巾が消耗したタイミングでセイシュウ城を救うのが、ソウソウが考えた理想のシナリオだ。

万が一、セイシュウ城が陥落していたとしても、消耗しきった赤頭巾からセイシュウ城を奪還するのは容易だとも考えての進軍速度だった。


しかし…


ソウソウがセイシュウ城を視界に捉えたのは、ちょうど俺達がセイシュウ城を救った翌日の昼過ぎ。


『なっ、何が起こったのだ!?』


落城寸前のはずのセイシュウ城外には激戦の跡が見られるが、赤頭巾等見当たら無く、何よりそれが人だったと疑いたくなるような黒く燃えた死体の山があったのだ。


次回投稿予定【4月22日】

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