表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第五章
64/84

平凡な皇帝

其の63






時は少し(さかのぼ)る…


シィ州。

帝都チョウアン城内の宮殿の一室でため息をつく一人の男。


ゴゥキン帝国第12代皇帝リュウキョウである。


先帝で兄でもあるリュウベンの突然の崩御により皇帝となって3年。

国内は赤頭巾の台頭で乱れに乱れていた。

更に、帝国内部も九常侍により腐敗しきっていたが、そんな帝国を改革しようとしていたリュウベンの突然の死。

確たる証拠こそ無いが、暗殺である可能性が極めて高く、その犯人が九常侍であろうことも予想される状況で、若干19歳の皇帝に出来る事は限られていた。


『陛下』


突然の声掛けに、今までの落ち込んだ暗い表情から薄い笑みを湛えた表情に素早く直し


『ん?どうした?』


少し間の抜けた口調で応え振り向くと


『騎督尉ソウソウが御目通りを願い出ております』


九常侍の1人であるズイタンが部屋の隅で畏まっていた。


『ん。そうか』


努めて感情を薄く、表情を保ったまま短く応えると、そそくさに歩き出す。

久しぶりの数少ない「友」の訪問に、今までの沈んだ気分が嘘であったかのようであったが、決してそうした感情は面に出さないリュウキョウ。

謁見の間の扉を子供のように開け放ちスタスタと自ら玉座へと歩みを進めると、その場にいる全ての者が畏まって皇帝の着席を待つ。


『ソウソウ久しいな』


玉座に腰を下ろすや否や、リュウキョウが発すると


『陛下におかれましてはご機嫌麗しゅう・・・』


『ふぁ~あ』


ソウソウの挨拶の途中で大きなあくびをするリュウキョウ。


『で?ソウソウ何用じゃ?

朕は昼寝前で眠いのじゃ。さっさと用件を申せ』


『ハッ。臣ソウソウ赤頭巾討伐の出陣に際し、御報告に罷り越しました』


『ん。大義』

『貴公の働きに期待しておるぞ。それだけか?』


『ハッ』


『では、吉報を待っておるぞ』


そう告げると玉座から立ち上がりスタスタと歩き出すリュウキョウであったが、畏まるソウソウに視線を送ると一瞬お互いの目が合った。

その一瞬だけ、お互いに友の無事を確認する。

皇帝に即位してから3年で、数度しかない友との再会を、その一瞬でしか噛み締められないのが、今現在の皇帝の立場であった。



兄の暗殺で皇帝に即位してからのリュウキョウは、努めて「暗愚」を演じていた。

宮中では常に九常侍の目があり、いつ自分が暗殺されるかもしれないと言った恐怖と闘っていたが、ゴゥキン帝国の未来を思うと、今の九常侍の排斥が急務であることは明白だからだ。

しかし、九常侍の影響力は既にゴゥキン帝国の隅々まで蔓延っており、無力のリュウキョウではとても太刀打ち出来ないのも紛れもない事実だ。

そんな折、赤頭巾の反乱により帝国の力は大きく削がれた。だが、それは九常侍の力も削がれたことを意味している。

この期に乗じて九常侍の排斥を、帝国内部からでは無く、各地の諸侯や野に埋もれた英雄に期待し、その架け橋を密かにソウソウに託していたのだ。

政治では九常侍に対し勝ち目は無いが、武力でなら話は違う。

ただ、今までその武力をこのチョウアンに招き入れる大義名分が無かったのだが、今は反乱に対し政治ではなく武力が求められている。

この期を逃すまいとリュウキョウは赤頭巾討伐の勅命を諸侯に発したのであった。

次回投稿予定【10月15日】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ