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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第五章
62/84

平凡に中間管理職

其の61






連勝が故の怠慢が、逃げ出した雑兵など問題視しなかった結果が今の状況だ。

それも悪い方の予想に極めて近い。

ただ、未だにセイシュウ城が落城していないのもシュウソウが確認済みな点は唯一の救いだ。


『どうなさる。チョウ妃殿』


コウソンタン将軍が地図を睨んだままのチョウ妃に尋ねると


『我々とコウソンタン将軍の他に騎馬100で救援に向かう。落城してはこれまでの作戦が無駄になる』

『して作戦だが、こちらの風聞を最大限に利用しようかと思う。ユウ州軍の旗を持った騎馬100をコウソンタン将軍に率いてもらい、セイシュウ城に向かう雑兵の牽制、撹乱を頼む』


新たな指示を出すと周りを見回し


『ホートは?』


どうやらホートさんに用があるようだが、幕舎の中には見当たらない。

するとリュウビが


『先ほどまでこちらにいらしたのですが、クーネルさんと共に外に行かれましたが』


その場の張り詰めた空気など気にもしないおっとりとした口調で応える。

仕方がないので、俺が幕舎の外に出て


『クーネル!どこだ?』


主人の呼び出しに奴隷のクーネルは


『坊っちゃん!ここでさ』


少し離れた小高い場所からこちらに向かって手を降る姿が。


『ホートさんは一緒か?一緒なら直ぐにこっちに連れて来てくれ』


そう言うと、体はこちらを向いたまま天に向かって


『ホート様。坊っちゃんがお呼びでさ』


俺もクーネルが見上げる辺りの空を見るが、当然ホートさんの姿は無い。


『坊っちゃん。もう少し待ってください』


クーネルの言ってる意味がわからない俺が


『ホートさんは一緒なのか?』


再び尋ねると


『大丈夫でさ。少しだけ待ってください』


どうも噛み合わない答えに俺がクーネルに向かって歩き出すと、クーネルが立っていた丘の後ろからホートさんが現れる。

クーネルと一緒に戻ったホートさんは


『お待たせしました』


と答えるが、少し顔が赤い

ような…


『少し顔が赤いようですが、具合でも悪いのですか?』


俺が尋ねると余計に顔が赤くなりうつむいたまま何も言わないホートさんの後ろで、苦虫を噛んだような顔を左右に勢い良く振るクーネル。


アッ。

全てを察した俺は


『ゴホン』


わざとらしい咳払いをした後


『チョウ妃さんが探しています。直ぐに幕舎にお願いします』


無言のまま頷くホートさんと共に幕舎に戻ると、ホートさんを見たチョウ妃が


『綺麗な花でも咲いてたか?』


ぶっきらぼうな言葉に、先ほどより真っ赤な顔で今にも頭から湯気でも出しそうなホートさん。


『ふん。まあ良い』

『お前は火属性の魔法は使えるな?』


同じ女性としてのデリカシーの欠片も無いチョウ妃に無言の抵抗をするホートさんだったが、


『そんなだから仙人殿に相手にされんのかもな』


チョウ妃の辛辣な追撃に


『つ・か・え・ま・す!』


明らかに怒りの口調のホートさん。

赤頭巾と戦う前に仲間割れし兼ねない険悪な雰囲気が幕舎の中に漂う。

どうせ、チョウ妃がこの前の顔合わせの際のことでも根に持ってるのだろうけど。


『さっ、流石はドアーフだ。ではコウソンタンと共にお願いしますぞ』


その場をなんとかとりなそうとする総大将。

最早、板挟みの中間管理職といったスウセイ将軍だが、コウソンタン将軍とホートさんが一緒に行動するって作戦なのか?

俺がいまいち話しに付いていけないでいると


『何をどうすれば良いのか分からなくては、お願いされても困ります』


全くもっての正論のホートさんに


『それじゃ、冷静を欠いてる様子のドアーフさまにご説明して差し上げましょうかね』


嫌味節のチョウ妃。


もう少し大人になってくれよ…

次回投稿予定【9月15日】

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