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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第一章
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平凡にシュールな異世界

其の6






『どうせなら魔法が使いたかったなぁ~』


俺の【転生者固有技能】の【英雄変化】を婆ちゃんなりの解釈で説明してもらった。


そもそも転生者には【転生者固有技能】という特殊能力が1人最低一つは与えられるとのことだ。

世界で発見された過去の転生者にも様々な【転生者固有技能】があり、多い人で4つの【転生者固有技能】を持った転生者もいたらしい。

ただ、この【転生者固有技能】だが、役に立つ技能ばかりでは無く、全く役に立たない技能もあるらしい。


例えば、毎朝の決まった時間に必ず起きる【転生者固有技能】や、空高くジャンプ出来る【転生者固有技能】がそれだ。


何故このような技能が備わるのかの解明はされていないが、前の世界で転生前に抱いた気持ちが影響されるとの仮説があるらしい。

毎朝遅刻に悩んで転生したら、決まった時間に起きられた?

太陽に手が届けばなんて考えて転生したら、高くジャンプ出来た?みたいな。

どれも推測の域なのが【転生者固有技能】だと婆ちゃんから説明された。



そこで俺の【転生者固有技能】である【英雄変化】だが、間違いなく前日の中華街でのアレだ。


三國志時代の英雄「関羽」を神と祀った姿に俺が変身する技能らしい。


しかも次の日には元の姿に戻る時間制限付き。

どこぞの星雲から助けにきてカップ麺すら食べられないヒーローよりマシ?


この技能って使い道あるのか?


それと、今後肉体の成長や生命の危機などで別の【転生者固有技能】が発生するかもしれないとのことだった。


ただ、この様々な【転生者固有技能】は無意識に周囲を巻き込むのがもう一つの特徴らしい。


実際俺の周りでは、「ミキオ」と言う本名なのに俺の呼称は「カン」になったり、悪魔の名前を実際の関羽の部下であった「周倉」と同じ「シュウソウ」と名付ける等、無意識に関羽が出来上がりつつあった。




◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆




そんな自分の状況を考えながら気功の鍛練をしていると、背中から激痛が。


『師匠。痛いっすよ』


『常在戦場!たるんどるぞ!カン!』


師匠である武人。タイシジさんが俺の背中に発勁を放ちやがった。


婆ちゃんにフルボッコにされてから、森の反対側で修行の日々を重ねる武人。

50歳を越え、見た目は渋いおじ様タイプだが、中身は100%の脳筋だった。


『ここが戦場なら貴様はもう死んどるぞ』

『ガッハハハハ~』


豪快に笑いながら俺に追撃の発勁を放つが、さすがに2発目は俺も避けた。


『父上!カンをイジメてはなりませぬ!』


プンスカと腰に手をあてタイシジ師匠を怒鳴る少女は師匠の1人娘のタイシキョウちゃん。


俺が婆ちゃんに助けられた時は1歳だったが、その後タイシジ師匠が稽古の際に度々連れて来るようになり、俺にとっては異世界の妹のような存在だ。


しかし、最近は俺に対して妙な態度で接して来る。

少し背伸びしたい年頃だろう。


だが、そんなタイシキョウちゃんの振舞いが、師匠にとっては気に入らないようである。


今日は髪を頭の左右でお団子にし、真っ赤なチャイナドレス風のいわゆる可愛らしいクーニャンスタイルであった。


『キョウよ。儂はカンをイジメてなどおらぬよ』


少しおどおどしながら若干8歳のタイシキョウちゃんに言い訳をする仙人を目指す武人の図。



異世界はシュールだ。



この辺が、師匠が仙人になれない理由なのかもしれないが、師匠は1人娘のタイシキョウちゃんが可愛くてデレデレだ。


俺にも娘とか居たならこんな風だったのだろうか…と微笑ましく父娘を眺めていると、タイシキョウちゃんが俺の所に来て


『カン!怪我はありませぬか?父上がすまないことをしました』


と俺の背中を摩りながら謝ってきた。


『いえいえ。大丈夫ですよ。師匠もちゃんと手加減されてますし、何よりたるんでいた俺が悪いのですから』


そう言うと上目遣いで俺を見つめながらタイシキョウちゃんが


『カンにもしものことがあったら、私が父上を殺して跡を追います』


などと物騒極まりないことを、頬を紅潮させながら言放つ。


愛娘の爆弾発言…


当然、俺を鬼の形相で睨む師匠。

タイシキョウちゃんが師匠と一緒に婆ちゃんの家に来るといつもこうなる。


『旦那さま。お怪我は?』

『私があヤツを魔界に堕しましょうか?』


雀の悪魔が俺を心配して飛んできて目を真っ赤にしながら師匠を睨んだ。

雀は元々鳥だから目は赤いのか?


『イヤイヤ。シュウソウ君。師匠を相手に何を無謀な。君はたった1日で契約を終わらせたいかな?ん?』


そんなやり取りを間近で見たタイシキョウちゃんが、瞳を潤ませながらシュウソウを見つめる。


『カン。この喋る雀は何者ですか?』


そう俺に言いながら目だけは完全にシュウソウをロックオンしている。


喋る雀に興味津々のタイシキョウちゃんと、その姿を鬼の形相バージョンアップで睨む仙人を目指す武人の図。


やっぱり異世界はシュールだ。

次回掲載予定 【6月20日】

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