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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第五章
58/84

平凡に前途は多難

其の57






ダイキン郊外に集結したユウ州軍、及び俺達義勇軍は総勢2万人を超えていた。


ホートさんからの「念話」により赤頭巾討伐軍の出陣の知らせを受け、俺達は家族総出の出陣なのだが、婆ちゃんのは今回もノリノリでチョウ妃の姿で参陣している。

仙人とチョウ妃を上手く使い分けしているようにも思えが、チョウ妃の時の婆ちゃんはタガが外れたかのようで心配でもある。

だが、そのお陰でホートさんの弟子入り云々の話しは今回も先送りなのだが、どうやらホートさんも俺達と一緒に義勇軍として参加するらしい。

元々魔法にも長けたドアーフなので戦力としては貴重なのかもしれないが、俺の変身した「カンウ」としての姿の説明とかはまだしていないので後々面倒になりそうだった。



『ミキオ殿。今回も宜しく頼みますぞ』


そう言って近付いて来たのはコウソンタン将軍を伴ったスウセイ将軍だ。

今回の討伐軍の総大将を任されたらしく、コウソンタン将軍は副将になるらしい。


『こちらこそ宜しくお願いします』


そう言って握手を交わすと


『して?カンウ殿は?』


スウセイ将軍のお目当ては「カンウ」のようだが、もちろん戦の情勢次第で参陣の予定だが、通常の行軍では「カンウ」が居るはずもなかった。


『カンウ殿は今回も戦の情勢に合わせて参陣の予定です』


俺の説明にスウセイ将軍は少しがっかりした様子だったが、ホートさんの姿を見ると


『そちらはドアーフの方かとお見受けしますが…』


スウセイ将軍の言葉に


『将軍。こちらが以前より話しておりましたドアーフのホート殿です』

『今回はミキオ殿達と共に義勇軍として我が軍に参陣されるとのこと』


コウソンタン将軍の説明に


『仙人のお弟子の方々のみならず、ドアーフの方まで参陣とはコウソンタン、此度の戦は楽しみであるな』


とご機嫌な様子のスウセイ将軍に


『将軍。初めまして』

『ドアーフのホートと申します。この度はご厄介になりますが、よろしくお願いします』


スウセイ将軍の前に歩み寄りしなやかなお辞儀をし挨拶するホートさんに


『これは失礼しました。此度の討伐軍を任されておりますスウセイです』

『何かお困り事がありましたら遠慮無く申してくだされ』


少し恐縮しながら挨拶するスウセイ将軍。

やはりドアーフの存在は戦場で貴重な戦力なのであろうが、総大将自らの発言からいきなりのVIP待遇だ。


『そちらにおられるのはチョウ妃殿。此度はそれがしも共に戦場に赴きますれば、コウソンタンより聞いた武勇を期待しておりますぞ』


チョウ妃を見付けたスウセイ将軍が挨拶したのだが、当の本人は背を向けたまま手をヒラヒラと振るだけだった。

恐らくだが、自分への挨拶がホートさんより後だったのでヘソでも曲げているのだろう。

だとしても総大将に対して余りにも大人気ない態度だが、スウセイ将軍は少し困った表情をするだけで差ほど気にしてはいない様子で安心した。

その後リョウ君と言葉を交わしスウセイ将軍とコウソンタン将軍は本陣へと戻った。




◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆




翌日、いよいよ討伐軍はユウ州軍を先頭に出立となった。

俺達義勇軍はユウ州軍の後方なのだが、俺達は皆将軍として馬を用意されてはいるが他の義勇兵は当然徒歩なので進軍速度は極めて緩やかだ。

俺達の目的地はユウ州の隣キィ州のキョロクにあるとされる赤頭巾の本拠地だ。

この分だとキョロク迄は20日ほど掛かるらしいが、途中赤頭巾と遭遇すれば当然戦闘になる 。

そうすればキョロクへの到着はもう少し先になるだろう。

ヨウ州、ホウ州、ケイ州方面からも討伐軍は既に出立しているらしく、首都があるシィ州方面からは今回の討伐軍の本体とも言うべき皇帝直属軍を中心とした20万の大軍勢がキョロクに向けて進軍中とのことだ。

この前のダイキンでの戦よりも大規模な戦になるのは言うまでも無いが、そんなに大軍が来るなら活躍の場が無いに越したことはない。

さっさと赤頭巾の奴等が降伏してくれたら一番なのだろうが、ここまで赤頭巾が勢力を拡げられたのはそれだけ各州の軍隊が脆弱だった証でもあるわけだから、この戦の前途は多難であろう。



そんな心配を余所に緩やかな進軍は問題無く進んでいた。

途中、ホートさんは婆ちゃんであるチョウ妃に話し掛けたが無視されると、今度はしきりにシュウソウに話し掛けていたのだが、他の義勇兵の手前シュウソウも会話は自重しているので傍から見たら馬上で独り言を呟くちょっと関わりたくない女性(ひと)と思われるているかもしれない。

かもしれないじゃなく、俺なら間違いなくそう思える光景だ。

どうしてこの元ドアーフの女王候補にもなったホートさんは残念な行動をするのかは謎だが、今に思えば女王にならなくてドアーフの国は正解だったようだ。


しかしながら戦場に向かう行軍がそんな長閑な日が続く筈も無く


『旦那さま敵です』


上空のシュウソウからの「念話」を受けたのはユウ州を出発して4日目の午後。

ちょうどユウ州とキィ州の境界付近であった。

次回投稿予定【7月21日】

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