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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第四章
54/84

平凡にダメ

其の53






『あぁ~ 本当にやかましい小娘じゃな』

『そんなじゃからお前はダメなんじゃ』


面倒臭そうに婆ちゃんがホートさんに良い放つと


『師ッ、仙人様。私はどうしてダメなのでしょうか?』


元ドアーフの女王候補で美人なのだが、絶叫したり気絶したりと朝から何かと残念な感じが漂うホートさんが涙目で婆ちゃんに問うのだったが


『そういうところじゃよ』


婆ちゃんは柳に風か、暖簾に腕押しといった感じだ。


俺のベッドの上で座ったまま自分の身体をキョロキョロと見回していたが、不意にシュウソウを見て「ビクッ」としたが今度は絶叫することは無い。

少しは冷静になったのか、敢えてスルーしのかは恐らく後者だろうが、婆ちゃんに言われた答を一所懸命に考えている姿が少し可哀想になり


『婆ちゃん。そんな言い方じゃわからないよ』

『もう少しちゃんと教えてあげたら?』


俺の助け船に懇願するような眼差しで俺を見た後、さっとベッドから降りるなりヘターっと床に額を擦り付ける見事な土下座を披露し


『お願いします』


と婆ちゃんを拝み倒す作戦に切り替えた。


婆ちゃんは少し面白く無さそうな表情だが何も言わない。


『婆ちゃん!』


再び俺からの助け船に


『ふん』


と鼻を鳴らして


『それじゃ言うてやろう』


そう言って婆ちゃんはホートさんの前に座り込み


『お前さんは何をしたいんじゃ?』


土下座を続けるホートさんを見下ろすように問うと、恐る恐る額を床から離し


『わ、私は・・・』

『仙人様のような・・・』

『魔剣を・・・』


絞り出すかのような小さな声で答えると


『わしは昨日なんと言った?』


婆ちゃんの言葉に


『確か…』

『教える事は無い・・・』


下を向いたままさっきより小さな声でホートさんが答えると


『あとは?』


続けて問う婆ちゃんに


『確か…』

『素材と・・・』

『イメージ・・・』


少し声がさっきよりハッキリした口調のホートさんに


『それじゃ』


婆ちゃんが言うのと同時にホートさんは身をお越し婆ちゃんを正面から見つめると


『たかが雀が喋ったぐらいでギャーギャー騒ぐからダメなんじゃ』

『ええか。魔剣ちゅう物は己れの常識で作れるような代物じゃないんじゃ』

『確かにドアーフの剣やら武具は優秀じゃが、それはドアーフの先人達が苦労して見付けた技術が元になっちょる』

『その技術を真似てるから今も優秀なんじゃが、それじゃ先人達を越えられん。先人達の優秀な技術に加えるモノが必要なんじゃ』


淡々と話す婆ちゃんに


『それがイメージ・・・』


ホートさんが呟くと


『そうじゃ。常識に捕らわれないイメージじゃ』

『そうじゃから、雀は喋らないといった常識は喋る雀を見た瞬間に捨てる必要があるんじゃ』

『常識外れをそのまま受け入れる事で新たなイメージが生まれるんじゃ。そしてそのイメージを補う為の素材があって初めて魔剣ちゅう物が作れるようになるんじゃ』


じっと婆ちゃんを見つめるホートさんだったが、スッと視線をシュウソウに送ると


『わ、私はドアーフのほ、ホートと申します』


たどたどしいながらも自己紹介を始めるホートさんに


『私はシュウソウ。悪魔です』


サッと両羽を広げ、片方の羽を綺麗に正面にたたみお辞儀をするシュウソウ。


『あ、悪魔?』


そう言ってシュウソウを見つめたまま白目を向いてそのまま倒れるホートさん。

どうやらシュウソウはホートさんには常識の遥か彼方の存在だったようだ。


『やっぱりダメじゃな』


そう冷たく良い放つ婆ちゃんだが、その表情が少し楽しそうに見えたのは俺の気のせいだろう。

次回投稿予定【5月26日】

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