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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第三章
42/84

平凡にホウレンソウ

其の41






胸を押さえて息も絶え絶えのチョウウンの姿にコウソンタン将軍は一瞬狼狽える。

しかし、次の瞬間には近くの兵士にチョウ妃を呼ぶように命令を下す。


本陣近くでショカツリョウと戦況を見守っていたリュウビは周りの慌ただしさで何かあったのかを察し、シュウソウに念話で状況の確認を頼んだ。


『シュウソウさん。何か本陣の様子が変ですがあなたから状況はわかりますか?』

『もしや、殿に何かあったのでしょうか?』


不安そうな念話を受けたシュウソウが本陣近くを低空で見回すと大体の状況を理解し


『リュウビ様。旦那さまは問題ありませんが、恐らくチョウウン殿が重傷のようです』


シュウソウから状況の説明を受けると


『チョウウンさんが?…でしたら仙人様にお伝えした方が良いかもしれませんね』


弓兵の指揮官であるチョウウンの負傷をチョウ妃に伝えるようにシュウソウに念話で頼むと


『リョウ君。チョウウンさんが怪我をされて大変みたいなの』

『チョウ妃さんにはシュウソウさんにお願いして伝えて貰うけど戦況からどうしたら良いかしらね?』


一緒に待機していたショカツリョウにそう問うと


『えっ?チョウウンさんが?』


一瞬驚いた表情をしたショカツリョウだが、暫し考えた後


『では、リュウビさんはチョウウンさんの代わりに弓兵の指揮をお願い出来ますか?』

『チョウウンさんの副官の方々に状況を説明して、あとはシュウソウさんと連携してください。敵は我が軍の両側から背後を狙う様子なので、弓兵の皆さんは正面左翼の敵に集中してください』


ショカツリョウから指示を受けると


『困りましたね…戦いは好きではありませんが、そんな事を言ってる場合でも無いようですし…』

『とりあえず弓兵の皆さんに頑張ってもらいましょうか』


そう言いながらも笑顔のリュウビは弓兵の元に向かって行った。



『仙人様。チョウウン殿が重傷の様子』


シュウソウからの念話で後方の指揮官であるチョウウンが重傷を負ったことから何かのトラブルを察したチョウ妃は


『敵は我が軍を回り込む様子か?』


端的に現状の確認をシュウソウにすると


『はい。その様子です』

『あっ。只今リュウビ様より左翼の敵に弓兵で当たるので助けて欲しいと連絡がありました』

『どうやらリョウ君からの指示の様子です』


シュウソウの答えに


『リョウの指示で金魚が左翼か…』


そう呟くと


『カンに今の状況を教えてやれ。ワシは本陣に向かう』


そう言ってチョウ妃は本陣に向けて転移魔法を発動させたのであった。



『旦那さま。チョウウン殿が重傷を負い仙人様が治療の為向かっております』

『リュウビ様はリョウ君の指示で敵左翼に弓兵を指揮して当たられるとのこと。』


本陣近くで指揮をしていたはずのチョウウンさんが重傷でリュウちゃんが弓兵を率いて左翼を攻撃か…

断片的だがかなり不味そうな状況は確定だな。


『シュウソウ。婆ちゃんは何か言ってたか?』


俺からの問いに


『仙人様は旦那さまに状況を伝えるようにとだけです。私はこれよりリュウビ様をお助けするべく左翼に向かいます』


そう言ってシュウソウからの念話は途絶えた。


さて、こうなっては多少強引でもさっさとこの戦いを終わらせないと味方に被害が拡がる可能性があるな。

それにしても「ホウ レン ソウ」は基本だろうに。

報告、連絡は良いけど、相談は無しって丸投げだよな…


予定よりはかなり早いが行くしかないか。

当初軍議で作戦の最終段階は確認済みだが前倒しを決意し俺は敵本陣を凝視したのであった。



本陣に転移したチョウ妃が目にしたのは瀕死の状態で横になったチョウウンの姿だった。

胸の鎧には穴が開き大量の血で真っ赤に染まっている。

怪我の治療を始めようとしたその時チョウウンは息絶えた。

火弾の当たった位置が悪く心臓に近かった為の出血多量死であろう。


チョウ妃が現れた事でチョウウンは助かると思ったコウソンタン将軍だが、駆け寄ったチョウ妃が治療を始めない事に


『チョウ妃殿?』


何故?との想いでチョウ妃を呼んだが返ってきたのは黙って頭を横に振るチョウ妃の姿であった。


次回投稿予定【1月20日】

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