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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第三章
40/84

平凡に心理戦

其の39





夜明けと同時にカンウの姿に変身を済ませコウソンタン将軍が待つ本陣に俺達は転移した。

俺達に気付いた兵士がコウソンタン将軍を呼んで来たので昨日の「ダイキン」解放の様子を説明すると


『そっ、それは…』


と少し涙ぐみながら言葉にならないがウンウンと頷くコウソンタン将軍。

そこにシバ導士が現れたので同じように「ダイキン」解放の説明をした。


『して、赤頭巾はどの程度の援軍を「タイコウ山」に送ったのじゃ?』


冷静にこれから対する敵の兵力を聞く辺りはやはり精鋭部隊を任されるだけはあるのか?

少しシバ導士への評価を改めるべきかと俺が考えていると、敵兵力が3万5千だと聞いた途端に


『では7倍?7倍だと!?』


狼狽える姿は俺のシバ導士への評価を急落させたのは言うまでも無い。


『シバ殿。想定より少し増えましたが、我々の仙人様から授かった陣形ならば問題ありますまい』


コウソンタン将軍の言葉に少し落ち着きを取り戻したシバ導士は


『そうであるな。我が精鋭の力なら大丈夫だな』


と自分自身に言い聞かせるように「大丈夫。大丈夫」

とブツブツ呟きながら本陣に戻って行った。

その姿に俺達は少し呆れた顔でお互いを見合わせるしかなかった。




◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆




少し予定より遅いようだが昼前に赤頭巾の軍が俺達にも確認出来た。

既にこちらは【八門妖鎖の陣】は完成している。

「驚門」「開門」「休門」「生門」「傷門」「杜門」「景門」「死門」は本来の

【八門金鎖の陣】では兵士を固めて敵の兵力を各門に誘うのだが、【八門妖鎖の陣】は兵士の代わりに婆ちゃんの魔法障壁で対応していた。

婆ちゃんより強力な導士の攻撃ならば魔法障壁も意味を成さないのだが、仙人より強力な者など赤頭巾に居るはずも無い。

と言うより、仙人より強力な導士など「ゴウキン帝国」内を探しても恐らく見付からないだろう。

故に鉄壁の魔法障壁に阻まれて攻め手は何れかの門を通って攻めて来るしか無かった。

本来なら門を形成する兵士達の陣形を変えて敵を殲滅させるのだが、この【八門妖鎖の陣】は門を越えた敵を如何に混乱させるかが鍵である。



こちらが少数で陣を敷いて待ち構えているのを赤頭巾の指揮官であるカンゲンは少し疑っていた。

このまま数の力で突破するなら可能かもしれないが、「タイコウ山」に攻めたユウ州軍はもっと多いはずだからだ。

副官達は完全にユウ州兵をなめていたので


『あのように少数の陣形など蹴散らしましょうぞ』


などと口々に騒いでいたがカンゲンは敵を見据えたまま動こうとしなかった。

カンゲンは元々ジョ州の士官だ。

この不公平な世の中に憤り赤頭巾に参加したが、赤頭巾もまた不公平を是正するだけの組織では無かった。

しかし、今の「ゴウキン」よりはマシだと思い赤頭巾に残っている。

そんなカンゲンだから他の元農民や元賊の者達とは違い今の状況に違和感を感じていた。


(「タイコウ山」からの援軍要請が既に罠で我々は誘き出されたか?だとしたら「タイコウ山」からそう遠くないこの場所で敵が陣を敷くなら「タイコウ山」の味方も気付くはず。挟撃を恐れないのは既に「タイコウ山」が墜ちたからか?)


今の状況を分析しようにも情報が少な過ぎて次の手を決めあぐねているところに「ダイキン」が3万のユウ州軍に攻められ陥落したとの報告が届いた。


この情報の真偽は定かではなかったがこの時点でカンゲンの選択肢は2つだ。

1つは「ダイキン」に戻り「ダイキン」を再び攻めるのと、もう1つは目の前の敵を蹴散らし「タイコウ山」を奪還することだ。

「ダイキン」を攻めるなら当然目の前の敵は追撃をして来るだろう。

しかし、「ダイキン」に着いたなら「ダイキン」に残した守備兵との戦いで消耗したユウ州軍を追い払うのは案外簡単かもしれない。


目の前の敵と戦うならユウ州の戦力から仮に「タイコウ山」が墜ちているにせよ戦力的にはこちらが上のはず。

その結果次第で「ダイキン」に向かっても遅くは無い。

一応撤退も考えたが兵糧や撤退先を考えると一番現実的では無かった。


(ユウ州軍は多く見積もっても4万程度。全軍で「タイコウ山」を攻めたなら目の前の敵とは別に3万からのユウ州軍が居るはず。しかしそんな敵は見当たらない。そもそもそんな大軍で「タイコウ山」を攻めたなら大軍を発見した時点で援軍要請が来るはず。今回の援軍要請がそうだとしたら消えた3万のユウ州軍はどこに?3万のユウ州軍が「ダイキン」を本当に攻めたならここに居るのは目の前の敵で全てだろうが、果たして本当に「ダイキン」を攻めたのか…)


カンゲンが心理戦ともとれる状況で次の一手を決めかねていると敵の陣から馬に乗った髭の長い武将が姿を表した。


年内で三章を終えるつもりでしたが来年に続きます。

来年も「~平凡関羽~」をよろしくお願いいたします。


次回投稿予定【1月3日】

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