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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第一章
4/84

平凡に名付け

其の4






全身が軽かった。

火傷の痕などどこにもない。

ただ、中学1年(160cm)ほどからすると目線がおかしい。

俺は自分の身体を眺めると、黒い糸状のモノが幾本も揺れているのに気が付いた。

顔を触るとその糸状のモノが長い髭だと認識出来た。


『ん~?』


身体も貧弱とまでは言わなくとも、子供の身体だったはずだが、筋骨隆々とした大人の身体に。


自分の変化に未だ絶賛混乱中の俺の前に婆ちゃんがようやく現れた。


『カンなのか?』


『なんで裸なんじゃ?』


婆ちゃんの言葉に我に返る。

確かに裸だった…


子供の時と違って筋骨隆々とした大人の裸…


少し恥ずかしい…



『婆ちゃん俺だよ!』



婆ちゃんは俺の全身を見回しながら自分の目線の高さ(1m)で大きく頷いてから


『立派になって』


と一言。


そこぉぉ?

盛大にツッコミを入れたくなったが、とりあえず婆ちゃんに状況の説明をした。


『そうじゃったか…まぁ無事で何よりじゃ』


案外アッサリとしている。


『さて。お前さんは悪魔だな?どうしてこの世にいる?』


俺に降参した悪魔(仮)に向かって婆ちゃんが聞くと、悪魔は森の西側で人間の導士数人によって召還されたと白状した。


【悪魔召還魔法】


強力な導士なら1人でも可能だそうだが、普通の導士なら数人で行わないと成功しない召還魔法。

その際悪魔に対して生け贄を用意し現世に留めるか、悪魔との契約で現世に意識を留めるかの方法を取らないと、悪魔は魔界に戻る。


この悪魔は召還に対しての生け贄として数十人の死体が用意されていたらしい。


そして導士達は契約を悪魔に迫ったが、悪魔は自分を召還した導士達が余りにも力不足だと見抜き導士を全員殺して自分の生け贄にしたそうだ。

死体の生け贄より自分で殺した生け贄の方が現世に留まる力は大きく、生け贄の効力を失った時点で魔界に戻るのだと説明した。


そして魔界に戻るまで現世を謳歌しようと数日前から森を彷徨い人間を探していたところ、俺の気配に気付きやって来たのが今日の出来事らしい。


『何やら数日前から森の西側の様子が気になっておったが、お前さんじゃったか』


婆ちゃんは気付いていたらしく、俺に森の西側には行かないように注意していた理由がこいつだ。


悪魔(仮)の姿はずいぶんと再生はしていたが、まだ動きはぎこちない。


このまま再生して誰かを殺して現世に居続けるのも迷惑なので、もう一度塵にして弱らせればそのうち生け贄の効力も切れて魔界に戻るのかな?

なんて事を俺が考えていたのを察知したのか、悪魔(仮)は俺に契約してくれと言ってきた。


『ダンナサマ ノ ヤクニタツ』

『ドウカ ケイヤク シテ クダサイ』


俺は婆ちゃんの方にどうしたモノか的な視線を送ると、婆ちゃんは悪魔との契約方法を説明してくれた。


『悪魔との契約方法は簡単で名前を付けるだけじゃ』


それだけ?


ちょっと呆気に取られたが、名前を付けられると悪魔は自分で契約を破棄しない限り現世で意識を保てるらしい。

契約破棄後は即魔界へ戻るらしく、契約者が死亡した場合も即魔界へ戻るとのことだった。



『それで?俺は何かを失うとかは?』


『何も失わないな。強いて言えば悪魔の面倒を見てやらねば、悪魔が愛想を尽かして契約破棄するだけじゃ』


『ん~。面倒って死体とか用意すること?』


『イヤイヤ。悪魔は契約後は意識が現世に保てるだけじゃ。普段は寄り代となる動物や人間に憑依するので、その世話をすれば良いのじゃ』



大したデメリットも無いが悪魔だしな…


少し微妙だよな…


俺がそんな事を考えていると婆ちゃんが


『せっかくだから契約しとけ』


と気楽に…


『まぁ何か悪さしたらわしが消しちゃるわい』


と笑って言った。


仙人がそこまで言うならと


『よし、わかった。契約しよう』

『お前の名前は…』



『シュウソウだ!』



『ワタシ ノ ナマエ ハ シュウソウ』



そう言うと悪魔は塵になって消えてしまった。


『あれッ?』


即、契約破棄されたか?


そう思った次の瞬間、一羽の雀が俺の肩に乗って


『旦那さまよろしくお願いします』


と流暢に喋ってきた。


『へっ?』


驚いた俺に雀は


『シュウソウですよ。旦那さま』


なるほど。

雀を寄り代とした訳だ。


『ああ。よろしくな』


そう言って雀(悪魔)を肩に乗せて俺と婆ちゃんは家に帰った。

次回掲載予定 【6月12日】

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