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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第三章
38/84

平凡に偽書

其の37






「タイコウ山」攻略から5日後の朝、俺は「ダイキン」解放に向かう本体と合流していた。


『スウセイ将軍!』


本陣に居たスウセイ将軍を見付けた俺が声を掛けると


『おぉ~ ミキオ殿。初戦の「タイコウ山」での戦は流石仙人の軍略でしたな』


初戦の大勝の報告を聞いていたようでスウセイ将軍はご満悦だ。


『リョウ。お前も大役ご苦労だった』

『しかし、まだ「ダイキン」が解放された訳では無い。この先も頼りにしておるからな』


俺の隣に居たリョウ君の頭をくしゃくしゃと撫でながら笑顔の将軍に


『はい。叔父上』


とリョウ君も少し照れたような笑顔で答えている。


『赤頭巾の援軍に対するこちらの準備は万全です。いよいよ「ダイキン」解放に向かいますが準備はよろしいですか?』


俺の問いかけにスウセイ将軍は


『我々も何日も遊んでいた訳ではありませんぞ。「ダイキン」に潜伏している密偵からの報告ではまだ「タイコウ山」の件は伝わっていない様子』

『今なら偽書と疑われること無く援軍を送り出すはず。兵士全員が「ダイキン」解放に士気も気力も十分に調ってますぞ』


スウセイ将軍が一番興奮気味ではあるようだが、準備は万端のようだ。

いよいよ「ダイキン」解放への作戦の発動である。




◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆




「ダイキン」の赤頭巾に向けて偽の援軍要請が発せられた。

この要請を信じた赤頭巾の軍がコウソンタン将軍の待つ精鋭と対峙するまで2日は掛かるだろう。

赤頭巾の軍が「ダイキン」を離れて1日経ってからが本格的な「ダイキン」攻略となる。


夜になって密偵からの報告が届き、「ダイキン」の赤頭巾は見事に偽書を信じて援軍の編成を始めたとのことだった。

偽書には2万5千のユウ州軍に包囲されてると記した為、援軍は少なくとも3万からの編成になるだろう。

「ダイキン」に駐留している赤頭巾は5万程度らしいので残る守備隊は2万以下になると予想された。

対するユウ州軍は3万だが、本来の攻城戦なら少なくとも守備兵力の3倍~5倍は必要とされる。

しかし、今回は守備兵力よりは多いが攻城戦にしては少な過ぎる3万の兵力で「ダイキン」を攻略する。

そこにはまた俺の力を過信し過ぎともとれる婆ちゃんの戦略があったのだから気が重かった。


翌朝、赤頭巾の軍は総勢3万5千の援軍を「タイコウ山」に向けて送り出した。

これで、「ダイキン」の守備兵は1万5千程度となり「ダイキン」解放には朗報であったが、明後日には予定されるコウソンタン将軍の精鋭5千で3万5千を迎え撃つ戦いには正直頭が痛くなる思いだ。


その日の深夜、俺と婆ちゃん、リュウビの3人は「ダイキン」郊外半刻の場所に居た。

明日の「ダイキン」攻略の要は如何に城門を開放し味方の損失を少ない状態で「ダイキン」の制圧に向かわせるかである。

そこで「ダイキン」から半刻の場所に俺達だけ別行動していると言うことは、当然俺達で城門を開放する為だったが、今回の作戦も「タイコウ山」攻略に輪を掛けた無茶ぶりを俺は要求させられていた。


本当に婆ちゃんの戦略なんて思い付き程度なのにそれに付き合わされるこっちは堪ったものではない。


そんな状況でも少し眠そうな顔をしながらも笑顔で


『カンちゃん。頑張って』


と励ましてくれるリュウビの存在はありがたかった。

もしかして、婆ちゃんは最初から俺が嫌がるのも計算してリュウビを連れて来たのか?

リュウビの前では多少の無茶を言っても大丈夫とか考えてないだろうか?

まっ、結果として婆ちゃんの思惑通りなのか俺は「ダイキン」の城門に向かっているのがシャクに障る。


そんな俺の気持ちなど関係無しに東の空が明るくなってきてそろそろ過酷なショータイムの始まりである。

次回投稿予定【12月19日】

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