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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第三章
33/84

平凡にスパイ!?

其の32






夜陰に乗じて「タイコウ山」に進軍を開始した誘引役の俺達は夜明け前に予定地点に到着した。

既に伏兵の3000人もチョウウンさんと共に予定地点に到着しているだろう。

後は占領役のチョウ妃が日の出迄に予定地点に到着すれば作戦開始である。


『よろしいかな?』


夜明け間近にコウソンタン将軍が俺の元にやって来た。


『仙人様のお弟子のカンウ殿はまだ参陣されていない様子ですが、間に合いますか?』


なるほど。

カンウの姿を見てないコウソンタン将軍は今回の作戦の主軸の不在に少し不安の様子だ。


『問題ありません。カンウ殿は転移魔法にて日の出には参陣します』


そう俺が答えると


『転移魔法で参陣ですか。仙人様のお弟子だけあって戦のやり方も我々常人の域とは違うのですな』


俺の説明に納得したのかウンウンと頷きながらコウソンタン将軍は自分の隊に戻って行った。

実際には、夜明け前に俺はリョウ君が居る本陣に向かう手筈なのだが、その時カンウに変身し参陣する予定である。

俺の【英雄変化】は「日の出」がリセットに関係しているようで、夜中に変身しても日の出には元の姿に戻るのは森で確認済みであったからだ。


そろそろ夜明けも近いようなので俺は本陣に行くことにしよう。



◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆



『シュウソウ』


日の出を待ってカンウの姿になり俺はシュウソウを呼ぶと


『はい。旦那さま』


まだ少し眠そうなシュウソウが飛んで来た。

雀のくせに朝が弱いのか?本当にポンコツな悪魔である。


『これより婆ちゃんの隊の位置と「タイコウ山」の様子を探って来てくれ』


このシュウソウこそが俺達の切り札であった。

戦とは常に情報収集能力が優れている方が有利である。

そこで、スパイ衛星ならぬスパイ雀を使って上空から戦場を監視すれば負ける要素など限りなく0に出来ると言うのが婆ちゃんの企てに俺の意見を取り入れた作戦だ。

シュウソウとはリュウビが使っていた「念話」で会話も可能だ。

婆ちゃんとリュウビとも「念話」は出来るが会話出来る距離が限られている。

しかし、シュウソウとの「念話」だとその距離は実質無限で、相手も個別に選定出来るとシュウソウは鳩胸ならぬ雀胸を張って威張っていた。

その辺は悪魔の力の成せる業らしい。


しばらくするとシュウソウから「念話」が届き婆ちゃんの隊は予定地点に既に到着しているとのことだ。

「タイコウ山」の赤頭巾は砦の見張り台に数人の兵士がおり、砦の中は平時と違い戦の準備は万全とのことだった。

これこそ婆ちゃんの企て通りの展開だ。

「タイコウ山」に近づけば必ず赤頭巾にこちらの存在はバレるだろう。

こちらが大軍なら「ダイキン」への援軍の要請も早急に行われるだろうが、こちらが脅威と成り得えないと判断したなら「タイコウ山」の部隊で対応するはず。

そこに仮にも強く無さそうな少数の部隊で正面から攻めたら、砦から出て殲滅を考えると言うのが婆ちゃんの「タイコウ山」攻略の企てだ。

その攻略にシュウソウからの情報が加われば、予定通りの軍事演習の如く作戦は完了するだろう。

シュウソウからの報告を受け俺は初めて婆ちゃんが作ってくれた鎧を装備したが見た目より軽く動き易い。

普段は布を巻いてある槍も布を外して気を流し、刃を大きくして準備は万端である。


こうして誘引役の隊に合流するべく東の空に上った朝日を背に受け1人移動を開始した。

次回投稿予定 【11月11日】

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