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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第三章
30/84

平凡に献策

其の30






タクケン郊外に布陣したユウ州軍は圧巻だった。

前の世界ではゲーム等で総勢数万人と表示された数字では知ってても、リアルに数万人が武装して整列する姿を目の前にすると言葉を失う。

そして数万人が殺し合うのを想像しただけで「恐怖」などの言葉で言い表せない未知の恐ろしさから冷や汗が止まらない。


完全武装の婆ちゃん改め「チョウ妃」「リュウビ」「ショカツリョウ」に普段着の俺。

これも婆ちゃんとの打ち合わせ通りなのだが、何故俺だけ普段着かと言うと、俺の【英雄変化】は時間制限があるので戦場で変身しないと役に立たないからである。

なので実際の戦場に着くまではいつものまま同行することになった。


俺達はスウセイ将軍が待つ幕舎に出向き今後の作戦を話し合ったのだが、チョウ妃をユウ州軍の方々に仙人の弟子だと紹介すると、見た目の小ささと女性だからと見くびった態度を取った武官に軽く【雷撃】を放ち失神させる事件を引き起こした。

スウセイ将軍の取り成しで大事にはならなかったのだが、その様子にチョウ妃は『フンッ』とワガママ仙人全快の態度で周囲を唖然とさせ俺は先が思いやられるのであった。


『仙人様のお弟子の方はここにおられる方々だけですか?』


少し面子を不安そうに見ながらスウセイ将軍が訪ねてきたが


『この後私の主人の「カンウ」が参陣するのでご安心を』


とリュウビが予定通りに答えたのだが、ユウ州軍の皆さんはまだ不安そうだ。

結局俺の変身した姿は「カンウ」と呼ばれているし…


『では僕から献策させていただきます』


リョウ君に全員の視線が集まると少し恥ずかしそうにしながらも


『先ずは「タイコウ山」に居座る赤頭巾に【誘引の計】をもって「タイコウ山」を占拠します』

『この後合流するカンウ殿とリュウビさんを中心とする2000人の精鋭で赤頭巾を誘き出し、「タイコウ山」から出たところで【伏兵】3000人にて殲滅するのが第一次攻撃です』

『この時注意して欲しいのが誰一人も逃がさないように注意してください』

『次にチョウ妃さんが率いる1000人で「タイコウ山」に残る赤頭巾の捕縛と占領が第二次攻撃です』

『「タイコウ山」と「ダイキン」を繋ぐ街道等は完全に封鎖して「ダイキン」への援軍の要請を遮断する役目をユウ州軍の方々の中からお願いします』


『次に「ダイキン」の攻略ですが、「タイコウ山」の占領後に【偽書】にて援軍を要請し、赤頭巾が「タイコウ山」に援軍を向かわせた後スウセイ将軍の本隊3万で「ダイキン」の解放をお願いします』

『援軍に向かった赤頭巾はカンウ殿を中心にした方々による殲滅するのが作戦の概要です』

『何かご質問は?』


リョウ君は然も簡単な作戦のように説明したのだが


『「タイコウ山」の赤頭巾にたったの6000だと!?』

『「タイコウ山」の赤頭巾は2万は下るまい。無理に決まっておろう』


年配の武官の1人が声を荒立てて問いただす。


『問題ありません』


想定内の質問に冷静に答えるリョウ君。


『元々赤頭巾の大半は農民ですから赤頭巾の代表格である「テイエンシ」と「トウモ」を討ち取れば残りは烏合の衆です』


リョウ君の冷静な分析に声を荒立てた武官が黙ると


『「タイコウ山」の占領に1000人とは少し少な過ぎでは?』


今度は導士の1人が訪ねるが


『それも問題ありません』


またもや冷静な口調でリョウ君が答え


『チョウ妃さんの魔法があれば1000人でも多いくらいですからご安心を』


とアッサリ答え、先ほどの【雷撃】の(くだり)が効いたのか導士も黙ってしまった。


『では、「ダイキン」の解放に本隊を向かわせるのは良いとして、援軍の軍勢にはどの程度の戦力で当たるおつもりかな?』


今度は冷静な口調でスウセイ将軍がリョウ君に質問すると


『援軍の規模がどの程度になるか予測は難しいのですが、恐らく3万程度になるかと考えています』

『これに対して我が軍はカンウ殿とリュウビさん、チョウ妃さんを中心に「タイコウ山」攻略の5000人で充分対応可能だと考えています』


リョウ君の想定した戦力差にスウセイ将軍は


『策を用いて戦力差を補う攻略戦と違い合戦ともなれば6倍の戦力差は命取りであろう』


と続けて問うが


『カンウ殿お一人で万の兵士に相当しますのでご安心を』

『それから、「ダイキン」の解放に際しては我々で城門を破壊しますから攻城戦の用意は不要です』

『スウセイ将軍は速やかに場内の制圧にのみ全力を費やしてください』


と大風呂敷をこれでもかと広げるのであったが、これも今朝婆ちゃんとの話し合いで決まっていた内容だった。

何故これほど迄に(カンウ)を前面に出し、リョウ君が作戦を立案しているかのように振る舞っているのかは全て婆ちゃんの企てで、今回の戦で「万夫不当の豪傑」と「知謀機略の軍師」を世の中に印象付けて乱世に終止符を打つのが狙いだ。

簡単に言うが万を超える敵を俺に担当しろって本当に勘弁して欲しい。

実際には赤頭巾のめぼしい武将を討ち取って戦意を削ぐ作戦らしいが、乱戦になり収拾が付かなくなる恐れもあるので、乱戦にならないことを祈るばかりだ。


『我々は明朝「タイコウ山」に向けて出立しますので各々準備を怠らぬようお願いします』


リョウ君の言葉で集まった面々は解散となった。


次回投稿予定 【10月28日】

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