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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第三章
28/84

平凡に出来る事

其の28






エンリュウさんとの謁見の後、身支度をした俺達はショカツリョウを連れて森に帰ってきた。


『どういう事か説明してくれよ』


早速俺が婆ちゃんに問い詰める。


『なぁに。この先わしが色々関わるのが面倒じゃから代わりを出そうと思っての』


なんとなく予想通りの展開だが代わりって…

俺が含まれる可能性はかなり高いだろうな…


『もちろんカンが代わりじゃぞ』


やっぱりだ。


その辺も含めて婆ちゃんの考えを詳しく教えて欲しかったのだが


『カンや。早速変身せい』


と俺に【英雄変化】をしろと説明も無しに命令をする婆ちゃん。

俺が嫌そうな顔をしていると、リュウビがキラキラの瞳で俺を見つめる。

やっぱり変身した姿の方がリュウビも好みなんだと少し寂しくもなったが


『あの身体で何が出来て、何が出来ないのか調べるのじゃから早くせい!』


と理由ともとれる事を言って俺を急かす。


『わかったからちょっと待って』


そう言って俺は自分の部屋で大人用のデカイ着物に着替え、気を身体中に巡らすようにすると例の変化が始まった。


変身を終えた俺が婆ちゃんの所に戻ると


『殿』


とリュウビが俺に抱き付いてくる。

この姿だと自然に「殿」と呼ぶリュウビになんだか自分に嫉妬するような変な感覚がしたのだが、見た目は子供から大人になりリュウビの見た目の年齢からも釣り合うのだから仕方ないと自分に言い聞かせ


『婆ちゃん。何するの?』


と話し掛けると、知らない大人が「婆ちゃん」と呼ぶのにリョウ君がビックリしていた。

まだリョウ君にはこの姿を見せていなかったので当然のリアクションだな。


『あの~』

『こちらの方は…』


リョウ君が恐る恐るリュウビに問う。


『私の旦那様です』


と言い切って俺の胸に顔をスリスリしているリュウビ。


『リョウ君。俺だよ』

『ミキオだよ。これが俺の【転生者固有技能】の【英雄変化】した姿なんだ』


説明したのだが、未だに驚きの表情のままのリョウ君。


『なんじゃ。今日は裸じゃないのじゃな』


何やら婆ちゃんが変な言い回しをしたがスルーを決め込むと


『ほれ。いつまでイチャついとる』


そう言って俺からリュウビを引き離すし


『カンや。確かシュウソウの攻撃も魔法も効かなかったと言っちょったな』

『その辺の確認をするからちいと我慢せいよ』


と言っていきなり【雷撃】を放つ婆ちゃん。


『バリバリバリィ~』


けたたましい音が森に響き俺に魔法が当たるが、服が焦げただけでやはり痛みは無かった。


『あぁ~あ』

『服が焦げちゃったよ』


せっかくの大人用の服に焦げ目が付いたことに文句を言うと


『そんなもんはええ』

『じゃが本当に効かんの』


と言ってまた【雷撃】を放つ。


『バ~リバリバリィ~』


さっきよりもデカイ音が森に響いたが、俺に痛みはやっぱり無かった。


『ほぉ~。これでも効かんか』

『それなら攻撃魔法耐性は問題無いの』


その後、炎系の魔法は完全に無効のようで氷系の魔法で固まりはするがダメージは無いことは確認出来た。

俺が魔法を受けている間、リュウビはダメージは無いとは言え攻撃されている俺を見ていられないらしく家の中に行ってしまったが、リョウ君は目の前で繰り出される仙人の攻撃魔法の数々に目を輝かせていた。


『次は精神魔法じゃな』


そう言って婆ちゃんが睡眠魔法を発動させたのだが、俺はスヤスヤと眠ってしまった。



『バッサ~』


頭から水を撒かれ目が覚める。


『やっと起きたか』

『蹴っても叩いても起きなんだから少し焦ったわい』


と言って婆ちゃんは笑っていたが、家の中から様子を伺っていたリュウビ曰く、俺を殴り殺す勢いだったと後で教えてくれた。


『どうやら直接攻撃には無類の強さじゃが、精神異常は常人並じゃな』

『今後はその点に気を付けるんじゃぞ』


と言ってどうやら俺への実験は終わりのようだ。


この姿にも弱点があるのか…

少し不安な気持ちになっていると


『まあ。この身体相手に精神魔法を使うヤツもおらんじゃろうし、精神異常だけなら魔道具である程度は防げるから安心せい』


と婆ちゃんなりの気遣いなのかそんな言葉を俺に投げ掛けてくれる。


『あと、この前作ってやった槍に気を流して試してみるか』


そう言って落ち込み気味の俺を促すが、俺が余り乗り気では無いと気付くと


『いいから。ほれ』


と言って俺の槍を渡してきた。

仕方ないと思い、槍に巻いてあった布を外してミスリル製の槍に気を流すと、うっすらと青く光ながら先端の刃の部分が大きくなり始める。

実際の金属では無く「気の刃」とでも言うべき形状で俺が気をもっと流すと、みるみる「気の刃」も大きくなる。

元々170cmほどの槍だったが「気の刃」の大きさで大人の俺より長い230cmほどまで長くなった。

刃渡り60cmを超える「気の刃」は根元にあった龍の口から半円状の青い刃が出ているような容だ。

【青龍偃月刀】まさに本来の関羽が使った武器を彷彿とさせる見事な武器が俺の手の中に。

ハッと俺が婆ちゃんを見ると


『上手に使うがええ』


と言って家の中に行ってしまう。

さすが仙人が作った魔道具である。


その後、俺が切れ味を試そと庭から森に向かう途中で槍を素振りのように軽く横に振ると、太い幹の木が何本かスパッと切れて轟音をあげる。


『えぇ~っ?』


刃も触れて無いのに?


若干混乱気味の俺が、前方にある木に向けて槍を上から振り下ろすと、刃の部分が狙った木に向かって真っ直ぐ伸びて真っ二つに切り裂いてしまった。

切れ味とか言ってるレベルではなく、勝手に刃が伸びて切るのだから間合いも関係無い。


『ん~』


これは使い道が難し過ぎる…

正直、上手に使う自信が…無い…




◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆




翌朝、俺が子供の姿に戻っていると


『カンや。今すぐ変身せい』


とまた俺に【英雄変化】をしろと命令する。

またかよと思ったが、部屋に戻って気を身体に巡らすがなかなか変身出来ない。

変身出来ないと言うより、巧く気を巡らせられない感じだった。


『婆ちゃん今日は出来ないみたい』


婆ちゃんの所に戻ると


『そうか。2日目は難しいか』


そう言って想定内といった雰囲気だ。

俺が巧く気を巡らせない事を婆ちゃんに説明すると、婆ちゃん曰く、【英雄変化】において本来の気を絶え間なく使い大人の身体を維持しているのでは?との仮説だった。

普通ならいくら気を使っても一晩寝たら回復出来るが、今の俺が本来扱える気の量で大人の身体を維持すると、次の日にまた変身するだけの気が回復出来ていないから変身出来ないのだろうと。

この先俺自身の身体が成長すれば毎日変身出来るかもしれないし、元々変身して再度変身するまでの時間が決まっているかはこれから探るしか方法が無いとのことだった。

昨日は昼過ぎからずっと変身していたから本来の気を使い過ぎて変身出来ない可能性もあるし、夜に変身したら朝に子供の姿に戻るのかとか、変身していた時間が短いなら連日の変身も可能かなどまだまだ調べる事は沢山あるようだ。



こうして俺は自分の身体の謎解きをし、婆ちゃんは何か自分の部屋でずっと作業をしながら、リョウ君とリュウビ、シュウソウにも細々と指図をして約束の5日目を迎えるのであった。

次回投稿予定 【10月15日】

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