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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第二章
21/84

平凡にKO寸前

其の21






上半身裸で熱心に体を鍛えている渋い中年男性。

どうやら転移先はタイシジ師匠の家のようだ。


『またお前さんは裸でそんなことしちょるのか』


婆ちゃんの一言に俺達を見て驚く師匠。


『ビックリさせるな』


と言うが


『気配にも気付かんようじゃからお前さんはまだまだなんじゃ』


と婆ちゃんから厳しいダメ出し。


『グヌゥ』


師匠が返す言葉が無い様子のところで


『タイシジ様ですか?』

『私はクンケイの次男のクンヨウです』


とクンヨウがタイシジ師匠を知ってる様子だ。

タイシジ師匠は少し考えた後に


『おお。クンケイ殿の息子か。ずいぶん大きくなられた』

『だが、クンケイ殿は…』


と続く言葉にタイシジ師匠が詰まった様子からクンヨウ一家に起こった事を知ってるようだ。

その後クンヨウがこれまでの経緯や今後[ケイ州]で商売を始めることなどをタイシジ師匠に話していると


『カン!カンではないのか?』


俺を見付けたタイシキョウちゃんが笑顔で走ってきた。

当然タイシジ師匠の表情はみるみるうちに鬼の形相に。

そこに


『あなた。お客様ですの?』


女性の声に振り向くと、年齢は30歳前後でなんとなくタイシキョウちゃんを大人の女性にした雰囲気がある可愛い女性が立っていた。

俺は初めてタイシジ師匠の奥さんに会ったのだ。


『初めまして。私はスギヤマミキオと申します。いつもタイシジ師匠にはお世話になっております』


と挨拶すると


『あら。あなたがカンさんなのね。こちらこそキョウがお世話になってますわ』


と笑顔で俺を見たが次の瞬間、鬼の形相で俺を見る師匠に目を移し


『あなた!』


と一喝。

師匠は先ほどの鬼の形相から叱られた猫のように首を竦めてシュンとなっていた。

この一瞬でこの家のパワーバランスが誰の目にも理解出来る光景だ。


『仙人様ご無沙汰しております』


何事も無かったかのように婆ちゃんに挨拶をする奥さんに


『ちょっと邪魔をしちょる。長居はせんからの』


と気楽な仙人。

この女性2人の前では高名な武人であるタイシジ師匠も形無しである。

その後クンヨウ達が[ケイ州]で唐揚げの商売を始める話しを聞いた奥さんがタイシジ師匠に


『唐揚げですって。あなた。今夜は唐揚げが良いと思いません?』


などと案に師匠に鳥を狩ってこいと催促すると、タイシキョウちゃんも大喜びだった。


『まあそんな訳で、こいつらを送るのに寄っただけじゃ』


婆ちゃんがクンヨウ達を見ながら説明するとクンヨウ達も


『タイシジ様。奥様。我々もゆっくりはしておれまぬのでこれにて失礼致します』

『仙人様。このご恩は決してわすれません』

『ミキオ殿。必ず商売を成功させてみせます』


と挨拶をして旅立って行った。




◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆




タイシキョウちゃんが帰ろうする俺にしがみついてきて師匠がまた鬼の形相になるというお約束のやり取りの後、俺と婆ちゃんは帰ってきた。


『お帰りなさい』


笑顔の美女の出迎えは気分が良いが、朝の一件から何でこうも笑顔になったのかがわからない。

そんな美女をチラッとだけ見ると婆ちゃんは家の奥に行ってしまった。

さてどうしたものかと俺が美女と2人きりに困惑していると


『あのマヨネーズなる食べ物は素晴らしい味ですが、あれも転生する前の世界の食べ物ですか?』


美女の方から話し掛けてきた。


『そうですよ。前の世界では世界中で食べられていた食べ物です』

『唐揚げは世界中とまではいきませんが、似たように鶏肉を揚げた物は世界中にありました』


答える俺にずっと笑顔の美女。

益々笑顔の理由がわからなくなっていると家の奥から戻った婆ちゃんが


『お前さんならこれはどうじゃ』


と朱色に淡い黄色の柄が付いた着物を美女に差し出してきた。

着物を受け取った美女は婆ちゃんを見ながら


『これを私にですか?』


と少し困惑の様子だが


『そんな布を巻いたものよりマシじゃろう。着てみるがええ』


と笑顔で促して家の奥に美女を連れて行ってしまう。



しばらくして着物を着た美女が婆ちゃんと一緒に奥から戻ってくると、元々非の打ち所無いほどの美人だがより一層美しくなったようだ。


『似合ってますよ』


思わず俺が感想を口走ってしまうと、頬をポッと染めて照れたようにはにかんだ表情になった美女はかなりの破壊力があった。


俺は内心「ヤバッ」「メッチャ可愛い」とKO寸前だったが必死に表情には出さないようにしていると


『わしらも準備をするかの』


と婆ちゃんは入口の方に行ってしまう。

俺と着物の美女が後を追うと、婆ちゃんは宝箱の中身を袋に詰めているようだ。


『手伝わんか』


そう言って俺と着物の美女に袋を放り投げる。

袋を受け取り婆ちゃんを真似て宝箱の中身から金貨や銀貨を袋に詰め込んでいると、やっぱり美女は笑顔だった。


なんだか妙な感じだったが、宝箱の中身から金貨と銀貨が無くなると


『これで準備はええな』


残った王冠のようなモノや見事な装飾の剣、宝石などを婆ちゃんは魔法の袋に入れて


『よし』


と一言。

金貨と銀貨が入った袋を俺と着物の美女に持たせてシュウソウを呼ぶと転移魔法を発動させ、着いた先はローソン村の広場であった。

次回投稿予定 【8月31日】


次回怒涛の第二章完結編です。

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