表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第二章
19/84

平凡に80km

其の19






はぁ?

笑顔の美女が俺を「殿」と呼んでいる。


婆ちゃんは「ふぅ~ん」と興味無さげに俺達2人を眺め、クンヨウは「ほほぉ~」といった様子でジロジロ見ている。

「チンゲンサイ」の3人は全く状況が把握出来ていないと言うより、俺達を普通にそう呼ぶ関係だと思っている様子だ。

シュウソウは少し頭を傾けて「ムゥ~?」っと悩んでいる様子だった。


それぞれが一様に俺達を見ているのだが、当の本人である俺は「何故?殿?」と絶賛混乱中だ。


『あのぉ。何故、俺を殿と呼ぶかな?』


率直に笑顔の美女に問いかけてみた。


『妻が自分の夫を殿と呼ぶのは普通ではないのか?』


まさかの質問返しだった。


妻!?

どなたの妻?

絶賛混乱加速中の俺。


『いやいや。仮にそう呼ぶのが普通だとしても、何故あなたが俺を殿と呼ぶかな?』


なんとも不思議そうに聞き直すと


『何を白々しく!恥を知りなさい!恥を!』


と目を「クッ」っと見開いて俺に迫ってきた。


『私に裸を見せ付けて、私の裸にあのように反応しながらまだ惚けるか』

『それに昼間結婚の約束までしながらどういう了見ですの?』


と顔を耳まで赤く染めて尚も俺に迫ってくる。


裸は見せ付けたと言うより事故だった訳だが、確かに反応してしまったのは事実。

でも、結婚の約束って…

未だ理解に苦しむ俺に


『責任を取ると仰有ったのは偽りですの!?』


と俺を睨んだまま押し倒す勢いで益々迫って来た時に


『あ~』


と間の抜けたような婆ちゃんの声に


『あ~』


と俺も昼間のやり取りを思い出す。


『やっとわかったようね』


とドヤ顔で俺を見る美女だが、やっぱり残念感が漂っている。

責任取るってあの場を取り成す為に言ったけど、それを本気にしてるとは…

見た目は超絶美人で非の打ち所が無いが、中身は誉めようが無い性格で、まして人間でも無いしな…

俺がどうにも返答のしようも無い状況に困っていると


『カンや。嫁にしてやれば良かろうに』


またまた気分屋仙人がお気楽に面倒事の丸投げを俺にしてきやがった。


それを聞いた美女は婆ちゃんをパッと咲き誇る花のような笑顔で見て


『ありがとうございます。お婆様』

『ふつつか者ではございますがよろしくお願い致します』



とプロポーズに成功して親に礼をするかの如く口上を述べたのだった。


俺がちょっと待ってよ的な顔で婆ちゃんを見ると


『まぁ。明日の朝になったら考えも変わるかもしれんからの』


とニヤニヤとしながらも俺に「なっ」的な表情をして、俺も自分の姿が【英雄変化】の影響で筋骨隆々の大人の姿で、この美女は本来の俺を知らない訳だから朝になって本来の姿に戻ったら考えも変わるだらうと俺に訴えているのだと気付いた。


なるほど。

このこじれた状況であーだこーだ言うより現実を見せた方が良いだろうし、一晩寝たら冷静にもなるだろ。

現実的に中学生のような子供感たっぷりの俺を見ても結婚なんてほざいたら逆に性癖を疑うってもんだしな。


とりあえず問題を明日の朝に先送りした俺は美女に苦笑いを返してこの場を収めたのであった。




◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆




何か柔らかい。

夢なのに感触があるんだ。

でもこの感触は…

前の世界で学生の頃に、高速道路を移動中に試したあの感触に似ているような…

時速80kmの風圧を手の平で受けると…


「Dカップ」の胸と同じ


そんな昔の記憶が夢の中で錯綜していると


『キャァァァァ~』


けたたましい女性の悲鳴が朝の森に木霊する。


俺が驚き飛び起きると、俺の部屋に美女が薄布一枚を身体に纏って立っていた。

正直、身体を隠すには不向きな薄手の布で、朝日が差し込む部屋の中では全く無意味なほどスケスケである。

朝から眼福であったが、当の本人は自分の姿を気にするでも無く俺を凝視している。

どうやら先ほどの感触は夢では無く目の前にある双丘の感触だったか…


『おはよう。朝から何をしているのですか?』


俺は風圧と同じ感触や眼福の状況を敢えて無視するかのように冷静に美女に向かって話し掛ける。


『あなたは誰?殿はどうしました?』


絶賛混乱中の様子ながら状況把握に努める美女だったが


『カンや。どうした?』


と悲鳴に慌てて部屋に飛び込んできた婆ちゃんに


『殿が…』

『いなくなりました』

『それに胸を…』


と半べそ気味に訴えていた。


瞬時に大まかな状況を把握した婆ちゃんは


『まぁここでは何じゃし向こうでゆっくり話しをしようかの』


と言って美女の腰に手を添えて部屋から連れ出してくれた。



遅れて飛んで来たシュウソウが


『まったく朝から賑やかですね』


と呆れた感じで話し掛けてきたが、そんな面倒事には我関せずの姿勢に少しイラッとする俺だった。



着替えをして部屋を出ると、婆ちゃんがさっきより厚手の布を身に纏った美女にお茶を煎れていた。

俺は美女の正面に座り


『おはよう。改めてこの姿が本来の俺なんだ』


と転生者である事実を語ってあげた。

もちろん胸の事は知らん顔である。




◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆




『では私の殿はこの子供の1日限りの仮の姿と言うのですか!?』


正解です。

俺の【英雄変化】での姿と現在の俺が同一人物だと理解出来たかな?

まぁ混乱はするだろが、事実を目の当たりにしたのでなんとかなるよな。

そんな俺の思惑通りに事が進みそうな状況だ。


『まぁ混乱するのも無理はなかろうな。しかし事実とはこんなもんじゃ』


と婆ちゃんも現実を見せ付けたのでさっさと面倒事を片付けに入っていた。


『でも…』

『私は…』


未だ納得出来ていない様子の美女に


『そうじゃ。お前さんのことを聞かせてくれんか?』

『龍だと言っていたが、ありゃどう見ても白蛇じゃぞ』


と傷を蒸し返すような一言に


『白蛇違うって言いましたよね!』

『私は龍!それも美しい白龍です!』


と急にあの残念な口調でまくし立て、一拍後に仕方ないかのように自分の事を語り出したのだった。

次回投稿予定 【8月23日】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ