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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第二章
17/84

平凡に泣き虫

其の17






半べそで頭から薄紅色の布を被った姿の美人。

残念度増々だった。


全裸で登場後、絶叫したかと思ったら座り込み大泣きをした自称龍の女性である。


大泣きをしながら


『もうお嫁に行けな~い』


とか


『バカ!バカ!バカ!本当にあなたバカなの?』



『責任取りなさいよ!』


などと散々わめき散らしてお疲れのご様子だ。


『もうわかったからいい加減泣くのは止めぬかの』


婆ちゃんが宥めるように自称龍の女性に語り掛け背中をトントンしている。


『だっ、だって。あんなの。フグッ』

『1日2回も、フグッ』

『もうイヤァァァ~』


また泣き出してしまう自称龍の女性。


『悪かったよ』

『ごめんな』


とりあえず謝って取り成してみる俺に


『本気で悪かったなんて思って無いクセに』


と半べそで布の隙間から睨んできた。


『本当に悪かったよ』


俺が再度謝ると


『それじゃ責任!とりなさいよ』


と迫る。


『わかったからもう泣かないでくれよ』


俺がそう言うと


『本当に!?』


涙を溜めたままだが笑顔のような表情で俺を見る。


『本当に』


俺がとりあえず肯定すると


『うん』


とだけ言ってやっと大人しくなってくれた。



そんな一連のやり取りをクンヨウは遠巻きにオロオロしなが見守るしか出来なかったし、シュウソウは木の上で我関せずを貫いていた。


『やっと大人しくなったようじゃな。日が暮れる前に帰えろうかの』


そう婆ちゃんは言って俺とクンヨウに宝箱を持たせ転移魔法を発動させる前に


『それで?お前さんはどうするね?』


と自称龍の女性を見ると、トボトボと歩いて宝箱を持った俺の隣に来た。


『ほぉ~』


婆ちゃんはそれだけ言って魔法を発動させ長かった1日は終わる。




◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆




『あっ!3人組』


婆ちゃんの家に着いて宝箱を家の入口に運び終えたクンヨウが思い出す。


『あぁ~』


もう疲れた俺がめんどくさそうに言うと


『あのまま置いておくのものぉ。連れて来るかの』


そう言って転移魔法を発動させ俺とクンヨウと婆ちゃんの3人は山賊のアジトに逆戻りした。

シュウソウは自称龍の女性を家の中に連れて行ったままなので留守番に。


アジトの中に入ると縛られた3人が俺達に気付き


『クンヨウさん!』


安堵と不安が入り交じった表情で気を失わなかった男が一言発したが、続く言葉は無かった。

他の2人は少しクンヨウを睨んでいるようだったが、隣にいるほぼ裸で身長2mの俺を見て怯えた表情になる。


『とりあえずお前さん達はもう少し待っとれ』


そう言って婆ちゃんはアジトの奥に向かって進み


『クンヨウや。山賊の大将の部屋は無いのか?』


とクンヨウを呼んでキョロキョロしている。


アジトの奥は何本かのトンネルがあり、それぞれのトンネルには部屋のような横穴が開けられていた。


『正面の奥がお頭の部屋です』


そう言って正面の奥を指差して歩き出したクンヨウに続いて婆ちゃんも奥に進んだが、俺はトンネルが意外と狭いので3人が縛られている場所で待機していた。



『俺達はどうなるのですか?』


1人の男が俺に聞いてきた。

鼻血の跡からクンヨウに殴られた男だろう。


『さぁな』


俺が興味無さげに応えると3人は下を向いて黙った。


その時、トンネルの奥から


『カンや。ちょっと来なさい』


婆ちゃんに呼ばれ奥に行くと、突き当たりの部屋のような空間に婆ちゃんとクンヨウが待っていて


『これならお前にも着れるじゃろ』


と言って一枚の服を俺に放り投げてきた。

紫色の着物のような服に袖を通すと、身長2mの俺にちょうどいい身の丈だ。


『ちょうどいいけど、ちょっと臭いな』


俺の素直な感想に


『そんな裸よりはマシじゃろ』


と婆ちゃんは笑顔で言って他の着物を物色し始めたる。


そういえば、山賊のお頭って大柄な男だったな。

これはお頭の着物か。

俺が納得し着物の着心地を確かめてると


『ほれ。これも持て』


と何着かの着物を俺に向かって放り投げてきた。


俺が着物を抱えていると


『クンヨウ!』


とクンヨウを呼んで艶やかな色の着物や反物のような布を渡して


『こんなもんかの』


そう言って腰を伸ばす婆ちゃん。

やってる事が少しコソ泥にも思えるが、お頭はもう死んでしまったので遺品の整理ってことになるのか?


そんなことを考えながら俺達は3人の元に戻ると婆ちゃんが3人の前にしゃがんで


『まだ山賊を続けるかの?』


と問いただす。


3人はブンブンと頭を左右に勢い良く振って否定の意思を示した。


『お前さんらの大将がどうなったかは知っちょるか?』

『わしが倒したんじゃ』


そう言って3人を睨んだ後に


『わしは仙人じゃ。じゃからお前さんらがウソを言ってもわかるんじゃぞ』


とヤ○ザバージョンで脅すように言い放つ。

多分嘘だろう。


驚いた2人と仙人と知っていた男は皆黙ったままウンウンと今度は激しく頷く。


その様子を見た婆ちゃんはクンヨウを見て


『大丈夫かの?』


と確認するかのように言ってクンヨウに丸投げするつもりのようだ。

クンヨウは肯定の意思を込めたように一度頷き


『お前ら仙人様に感謝しろ!』


と3人を怒鳴ってから笑顔を見せると、3人は命は助かったと判断したのか、シクシクと泣き始めてしまった。


『泣いてるなら置いていくぞ。もう泣き虫はたくさんじゃ』


と疲れたように言って転移魔法を発動させようやく家に帰ったのであった。


次回投稿予定 【8月12日】

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