平凡に白蛇!?
其の16
川の真ん中で裸の大人になった俺。
そんな俺を見て固まっているクンヨウ。
しばしの静寂があったが婆ちゃんのどんな言い訳も最早無理だと悟りクンヨウに俺が転生者だと打ち明けた。
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川から上がり
『婆ちゃん。なんか着られるもの無い?』
そう言って婆ちゃんが用意していた大きな袋の中を物色すると、婆ちゃんがよくスカートのように腰から巻き付けている布があったので、温泉でタオルを腰に巻いたスタイルになると
『カン!何故フル○ンでそれを巻くかの。もうその布は要らん。お前にやる』
と汚い物扱いだ。
『ひでぇな。婆ちゃん』
一言文句は言ったが、とりあえずマッ裸の状態を脱したのは良いが、恐らく明日の朝まで大人モードだよな…
少し憂鬱な気持ちでいると
『ミキオ殿。そのお姿が本来のお姿なんですね』
『単なる仙人様のお弟子の方かと思っておりましたが、いやはや、先ほどの怪力ぶりからもご高名な武人の方かと推察致します』
『どうか本来のお名前を教えては頂けませんか?』
クンヨウが少し壊れたようだ。
『いやいや。俺はスギヤマミキオ。昨日自己紹介したよね?』
『武人とかじゃないし。転生者。さっき説明したよね?』
俺がクンヨウの扱いに苦慮していると
『そんな露出狂のことなんぞより例の場所に案内せい』
と婆ちゃんはクンヨウを急き立てた。
布の一件から俺は露出狂ですか…
仙人に急かされクンヨウは森の中に歩いて行くと、小さな岩が3つ並んだ地面を見て
『ここです』
婆ちゃんにそう告げ小さな岩の周りを掘り始めた。
少し掘ったら何かに当たった様子で、丁寧に周りの土を取り除くと大きな箱が現れる。
『それが山賊の宝か?』
婆ちゃんの問いかけにクンヨウは笑顔で頷いた。
山賊の宝?
確か「命を助けてくれたら宝を…」とか言ってた山賊がいたが、あれはクンヨウだったか。
で、その宝がこの箱の中に?
どうやら婆ちゃんの企みはこれだったようだ。
クンヨウがゆっくり箱を開けると中には金貨や銀貨がかなりの量入っており、宝石や王冠のような物、見事な装飾が施された剣なども数点入っている。
婆ちゃんは宝箱の中身をガシャガシャと一通り物色すると
『ハズレじゃのぉ』
と言って赤と黒が半分づつ混じりあったような石を一つ掴んで立ち上がり
『カンや。この箱を掘り出して運んでおくれ』
と俺に指示を出してきた。
言われるがまま俺が宝箱を無尽蔵の力で掘っていると、クンヨウが掘るのを手伝いながら
『さすがは仙人様。あんな石一つで無欲ですね』
と作業の手を動かしながら呟く。
確かにこんな場所まで来て金貨等には目もくれず石一つってどうなんだ?
ハズレって言ってたけど、あの石は当たりなのか?
婆ちゃんの意図が読めない。
そんな時だった
『先ほどは助かりました』
森の方から聞こえる声に、俺が振り向くと薄紅色の布を体に巻いたような出で立ちで女性が立っていた。
艶やかな藍色の髪の毛を腰の少し上ぐらいまで伸ばし、ぱっちりとした少しタレ目が印象的で、こんな森の中には不似合いなほどの色白美人だ。
身長は俺(160cm)より少し高く、年齢は20前後で布を巻いた体の線から想像してもかなりのスタイルである。
俺とクンヨウがどなた?的な顔をしていると
『わかりませんか?先ほどあなた方に助けてもらった龍です』
龍?
助けたかもしれないのは自称鯉と言い張る金魚だったような…
でもイメージとして伝わっていた声とこの女性の肉声は似ているかも…
そんな風に俺が悩んでいると
『龍なんぞ知らん。金魚なら助けたかもしれんの』
『まぁ、その金魚も滝の上に逃げて行ったがの』
婆ちゃんも俺と同じ見解のようだ。
『ダ・カ・ラ。金魚違うわ!鯉!そして今は龍!』
『本当にバカなの?』
そう女性はまくし立てる。
『『『あっ!』』』
俺と婆ちゃんとシュウソウがハモった。
この口調はまさにさっきの残念な自称鯉のものだった。
『やっとわかってくれたみたいね』
少しドヤ顔で満足そうに言ったが、せっかくの美人が台無しな感じがやはり残念だった。
『でもなんで人間の姿なの?』
俺の質問に
『あなた本当にバカね。私は龍なのよ!人間の姿になるなんて簡単だわ』
と自慢する。
かなりウザい。
そこにシュウソウが
『この者は先ほどの鯉で本当に龍のようです』
と肯定する。
悪魔を騙せないのが本当ならこの女性の言ってる事は全部真実か…
俺がようやく事実と向き合おうかとしていると
『やっと話の通じる者が…』
『えーっ!?』
『雀よね?今喋ったの雀だったわよね?』
『ナニ?何?なに?』
『いつから雀って喋るの?』
自称龍の女性は絶賛混乱中のご様子。
そこに
『やかましい娘じゃの。お前さんが本当に龍で人に化けて喋るなら、雀が喋るぐらいどうでも良いじゃろ』
と婆ちゃんがバッサリ言い切る。
『ムグゥ』
『でも、まだお婆さんは信じて無いみたいね』
『いいわ。証拠を見せてあげるわよ!』
婆ちゃんに言い切られ言葉に詰まった自称龍の女性は半ギレ気味に言い放ちスッと女性の姿が消えた。
すると女性が巻いてた薄紅色の布の下か体長50cmぐらいの白蛇がスルスルと這い出してきて
『これでわかったでしょ!』
と前と同じイメージが伝わってきた。
俺と婆ちゃんとクンヨウがはぁ?的な顔でお互いを見てると
『もういい加減にして!』
『せっかく私が神聖な龍の姿になっているのにその態度は何なの?』
『しかも白龍!わかる?白龍なのよ!』
そんな完全に逆ギレのイメージが伝わってきたが、クンヨウだけはやはりイメージが伝わらない様子で混乱と言うより白蛇を珍しそうに眺めていた。
『龍じゃなくて蛇じゃな。普通に白蛇じゃ』
婆ちゃんの容赦の一切無い一言に
『ねえお婆さん?もう目が見えないのかしら?』
『こんな立派な髭がある蛇なんていないでしょ?』
『それに白龍よ!白蛇違うわ!』
今度は呆れたような感じのイメージが伝わると、白蛇の口がパクパク動く横でニョロニョロと動く白い筋が見えた。
『ほぉ~髭のある白蛇は初めて見たの』
と婆ちゃんは一歩も蛇から譲る気配は無かった。
『もうこんな扱いイヤ!』
怒鳴るイメージが伝わった瞬間、先ほどの女性が全裸で現れたのだった。
俺を正面から軽く睨んだ後、俺の下半身が「ムクッ!」と反応するような動きに目線を移す女性。
久しぶりに見た女性の裸に「これぞ自然の摂理」と言わんばかりに自己主張する「イチモツ(大)」を直視すると同時に、自分が裸である事実と直面した女性は
『キャャャャャャー』
と本日2度目の森中に響き渡るような絶叫を残し真っ赤な顔で座り込んだのだった。
次回投稿予定 【8月7日】




