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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第二章
15/84

平凡に悪霊!?

其の15






『た~す~け~て~』


悪霊の声だ。


クンヨウの案内で滝の下に降りる脇道を歩いていた時に女性の声がする。


俺が婆ちゃんを見ると辺りを見回して声の主を探している様子だ。

シュウソウはいち早く滝の下に向かって行った。

ただクンヨウには聞こえていない様子で脇道を進んでいる。


『助けて!』


まただ。

でも、声とは違うような…

直接俺の意識に語り掛けるようなイメージだった。


俺が頭の中で『誰?どこ?』とイメージすると


『あっ、聞こえてます?助けてください』


と会話になった。


『どうやら悪霊とはちと違うようじゃな』


と婆ちゃんは笑顔で言いながら俺を見ると


『助けてやっても良いが、どこにおるんかの?』


と俺にも伝わる悪霊(仮)と同じようなイメージがした。


『旦那さま。滝の下。川の中からのようです』


今度はシュウソウから同じようなイメージが。


滝の下?


俺が滝を見ていると


『この滝は5段になっていて「昇龍の滝」と言うのです』

『昔、大きな鯉がこの滝を下から昇り龍になった伝説があるそうですよ』


と状況がわかってないクンヨウが滝の説明を始めた。


『はい。滝の下の川の中にある岩の中です』


悪霊(仮)が詳しく説明を伝えてくる。


クンヨウの声と悪霊のイメージが入り交じり頭の中が少々パニック気味だった。


『ちょっと黙って』


俺がクンヨウに対して言ったのだったが悪霊(仮)にも伝わったらしく


『はい…』


と寂しいイメージが


『ミキオ殿すみません』


クンヨウは少し驚いたように俺に謝ってくる。


『別に怒ってる訳じゃないけど、少し黙って先を急いでくれます?』


俺はクンヨウに指示を出した。




◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆





やっと滝の下まで降りると


『仙人様こちらです』


とクンヨウが川から離れ森の中に行こうとする。


『旦那さまこちらです』


シュウソウが川の中に案内するように飛んでいる。


『クンヨウや。ちょっと待っておれ』


そう言って婆ちゃんはシュウソウが案内する川の中に進んで行った。

川は水の勢いはあるものの、水深は浅く婆ちゃんでも歩いて行けた。


そして小さな複数の岩の上に大きな岩が乗ってる川の真ん中辺りで


『どうやらここのようじゃな』


と婆ちゃんは岩の隙間から中を覗き見る。


『そうです。ここです。助けてください』


また女性の声がする。


『婆ちゃん誰かいるの?』


と俺が聞くと


『あぁ~ん?金魚か?』


と婆ちゃんが岩の隙間を覗いて言うなり


『金魚違うわ!鯉よ!鯉!』


半分キレ気味な女性の声。


金魚?

鯉?

金魚か鯉かは知らないが声の主は魚!?


『あんた人じゃなかったの?』


と俺がイメージすると


『人でも鯉でも助けを求める女性を助けるのが男の役目でしょ!』


となんだか妙な感じのイメージが。


『助けようにもこれはどうしようもなかろうな』


そう言って婆ちゃんは到底人が動かせそうにない岩をペシペシ叩きながら「どうする?」的な顔で俺を見た。


全然状況が理解出来ないクンヨウも川の中でこちらを伺いながら


『私に何か出来ることはありますか?』


と言ってくれたが状況的に何も出来ないだろう。


『婆ちゃん!魔法で岩を破壊出来ないかな?』


と俺が婆ちゃんに聞くと


『魔法でか?』

『まぁ、出来んこともないじゃろうが』


そう言うと


『魔法で岩を壊すからの』


とイメージで自称鯉の女性に伝える。


『あなたバカ?バカなの?岩なんか壊したら私が下敷きになっちゃうわよ』

『もう少し頭使って助けてよ』


と何やら自分の立場がわかっていないような自称鯉の女性。

なんか面倒になってきたような…


『なんじゃ。ずいぶんな言いようじゃな』


そうイメージした後で俺に


『カンや。無理そうじゃから諦めるかの。そもそも金魚を助ける義理は無いしの』


と気分屋モードの仙人になりそうだった。


俺も諦めようかと思ったが、そもそもこの自称鯉って何者?

何故こんな岩の隙間にいるの?

と疑問が湧いてきたので


『あのさ。この人は仙人で一応あなたを助けようとしてくれるのに言い方がおかしくないですか』

『そもそもあなたは何者?』

『何故そんな岩の隙間に居るの?』


と気になった疑問を自称鯉の女性にイメージすると自称鯉の女性はこれまでの経緯を説明してくれた。



自称鯉の女性によると、「昇龍の滝」に挑む迄に鳥に襲われないように岩の隙間から中に入ったまでは良かったが、中の居心地が良くつい長居をしたら水位が下がって隙間から出られなくなった。

水位が上がれば出られるからとのんびり待っていたのだが、なかなか水位が上がらず数十日待ってやっと水位が上がりようやく出られると思ったが、身体が成長して今度は隙間を通れなくなってしまったらしい。


要するに金魚が岩の中でグダグダ過ごしていたらデブったのか…


『デブ違うわ!てか、あんたかなり女性に対して失礼よ!』

『それに金魚違うって言っるのに、あんたもバカなの?鯉!綺麗な鯉よ!』


俺のイメージが伝わってしまったらしく、えらくご立腹の様子だ。

でも鯉でも金魚でも良いが、性格も行動も残念過ぎるのは確かだ。


『残念とか言わないでよ!!!!』


とまた残念なイメージが。


『助けてくれないと私、龍になれなくて大変なの。お願いだから助けて』


はい?

龍になれない?


また残念な鯉が意味不明なことを言っていると思ったが


『なんじゃ。お前さんは龍の子供か?』


婆ちゃんが残念な鯉の話しに乗っかってきた。


『だ・か・ら。あんたも大概よね。さっきから言ってるでしょ。「昇龍の滝」に挑むって。』


今度は呆れた様子の残念な鯉だったが


『本当に困っているの…』

『そうだわ!私を助けてくれたら龍になってあなたを私が助けてあげるわよ!』


残念な鯉が交換条件を言ってるようだが、そもそも助ける術が無い。

でも何もしないで立ち去ると残念な鯉はずっとやかましくイメージ伝えてきそうだしな。


『ダメ元だからな』


そうイメージを鯉に伝えて俺は未だ状況が把握出来てないクンヨウを呼んだ。

そして


『ダメ元でこの岩を退かしたいから力を貸してくれ』


と頼み、婆ちゃんにも


『出来る範囲で良いからとりあえずやってみよう』


と言って岩の周りに集まり持ち上げようと力を込めた時


『ピカァァァ~』


と俺の身体が光を発すると服は千切れ、髪の毛や髭が伸び始め、俺の【転生者固有技能】の【英雄変化】が発動する。


身体は2mほどになると力も無尽蔵のように湧いてきて


『ドババッ』


と岩を持ち上げてしまった。


すると小さな岩に囲まれた水溜まりに一匹の金魚が口を大きく開けたまま俺を見上げていた。


また裸になってしまった俺は岩を頭上に持ち上げたまま金魚と目が合った瞬間


『キャァァァァ~~』


と凄まじい悲鳴がイメージとなって伝わると金魚は猛烈な勢いで滝を昇って行ってしまった。


『あっ』


俺のまたやっちまった的な一言に


『えっ』


と俺を見て固まっているクンヨウと目が合った。

次回投稿予定 【8月1日】

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