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~ 平凡 関羽 ~  作者: つくば太郎
第二章
13/84

平凡に世間話し

其の13






『まだ着かんのか?』


婆ちゃんが苛立った様子で男に問いただす。


昼過ぎにローソン村を出発してもうすぐ夕暮れだ。

さすがに草原で野宿は勘弁して欲しい。

何より野宿の準備など一切してない。


俺達は最初に捕虜にした5人の中で

『宝を差し出す』

と言ってた男を先導に竜谷にある山賊のアジトに向かっていた。


主の居なくなった山賊のアジトの有効活用なのか?


何やら婆ちゃんが話しを纏めたのだからこの先も面倒は婆ちゃんが引き受けるのだろう。


『今日中にはちと無理そうじゃな。今日は一旦帰るとするか』


そう言って婆ちゃんは転移魔法を発動させ森の家に帰ることになった。




◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆




『お前さんの寝場所は…』


そう言って婆ちゃんは庭に丸太が置いてあった場所に行くと


『ここで良いかの』


と魔法を発動させる。

薄い光の膜のようなモノが丸太の周囲3mほどにドーム状になって現れる。


『お前さんはここで我慢せい』


そう言って男を呼ぶと、ドーム状の中に押し込んだ。

中で男が膜を触ったが壁のように硬い様子で、どうやら魔法の牢獄といった感じなのか?


『この魔法障壁はわしより魔法能力が高くないと破れん。』


そう言いながら婆ちゃんは魔法障壁の中に入ると男の手を縛っていた縄をほどいてやった。


『さすがに寝るのには邪魔じゃろ。じゃがな、妙な真似はせん方がお前さんの為じゃからな』


と釘を刺すのは忘れない。




夕飯を済ませ俺と婆ちゃんは庭の男のところに居た。


『まぁ色々思うところはあるじゃろうが、お前さんのことを聞かせくれんか?』


そんな婆ちゃんに男は素直に自分の身の上などを話し始めたのであった。




男は「クンヨウ」と名乗り年は30歳で元々は[エン州]にあった武芸道場の次男だった。

ある時、道場主であるクンヨウの父が中央の役人から武芸師範として働かないかと誘われた。

しかしそれは賄賂をよこせと言う役人からの要求でもあった。

賄賂の要求をクンヨウの父は断り、武芸師範の話しも終わりかと思ったが、賄賂を断られた役人が皇帝の側近である「九常侍」と計りクンヨウの父を冤罪で投獄し斬首されてしまう。

罪人の道場は当然中央の役人によって取り潰しとなり、私財も全て没収となった。

突然一家の主と全ての財を失なったクンヨウの家族は散り散りとなり、行く宛も無いクンヨウは多少の武芸の腕を買われ山賊になったとのことだ。


『元々武芸一家の人間としての才能は無能に等しい私でも、山賊の中ではかなり重用されまして、読み書き計算も出来たので山賊の金庫番を任されておりました』


と最後は照れくさそうにクンヨウと名乗る男は話してくれた。


『九常侍か』


婆ちゃんが吐き捨てるように言う。

何か知っているのだろうか?


『九常侍の奴等は皇帝の側近となる為に去勢されちょるから、カネ儲けにしか興味の無い男女じゃ』


と苦々しい顔で婆ちゃんは吐き捨てる。


なるほど。

玉無しの守銭奴ですか…


『まぁお前さんの話しが全部本当だとしたら災難な話しじゃが、だからと言って山賊になって村を襲って良いとは道理が通らんわな』


と婆ちゃんのごもっともな意見にクンヨウは


『私は山賊になりましたが、村人を殺したりしておりません。私は売られた方が殺されるよりはマシだろうと女子供を捕まえる専門でしたから』


なんともある意味身勝手な言い分だが、殺されるよりマシな人生か、殺された方が良かった人生かは運次第かもしれないな…


『その者はウソを言っておりません』


突然シュウソウが喋った。

クンヨウは突然のシュウソウの乱入に驚いていたが


『なんでお前はそう言い切れる?』

『またお得意の推理か妄想なのか?』


俺の皮肉混じりの問に


『悪魔を騙せる者などおりません』


クンヨウの前で自分が悪魔だとカミングアウトしやがった。


『あ、悪魔!?』

『雀が?』


クンヨウは絶賛混乱中のご様子。


『なるほどのぉ~』


と婆ちゃんは納得のご様子。


悪魔って騙さないの?

嘘がつけないって昔に本が何かの知識であったけど、異世界の悪魔は騙せないんだ…


俺も気を付けないとな。


その後、クンヨウとシュウソウを交え四人での話しは夜遅くまで続いた。


次回投稿予定 【7月21日】

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