平凡なローソン村
其の12
村に近づくと酷い有り様だった。
コウちゃんの案内で村に着くと周辺には幾人もの死体が放置され、多くの家々には火が放たれている。
老若男女を問わず殺されている惨状はまさに地獄のようだった。
村のあちこちでは家々を物色している赤い布を付けた男達がウロウロし、村の様々な方向からは何人かの女性の悲鳴が聞こえてくる。
俺が婆ちゃんを見るとかなりお怒りの様子だ。
ならばこの惨状を直ぐにでも終わらせようと
『山賊の皆さん!今すぐ武器を捨てて降参してください!』
『降参しないなら容赦しません!』
そう俺が大声を張り上げた。
近くに居て俺達に気付いた山賊の1人が
『うるせえ!』
と叫んだ瞬間、婆ちゃんが【雷撃】を発動させ男の胸には黒く焼け焦げた穴が開いていた。
かなりお怒りの婆ちゃんは容赦がない。
1人目の男が倒れた事で近くで見ていた男達は金縛りになったように動けなかったが、遠くでこちらの騒ぎに気付いた男達が走って来る。
『バリバリバリィィ~』
容赦のない一瞬の【雷撃】で走って来る男達は自分が死んだ事さえ気付かぬ間に絶命していた。
こうなると周辺の金縛り状態の男達の運命も決まってくる。
我先にと逃げ出す者と、腰を抜かして動けない者。
両者の差は前者には容赦のない死を、後者には死なないまでも死にたいくらいの激痛だ。
俺に連れて来られた5人の男は仲間が容赦なく死んでいく様に腰を抜かしている。
村の中に進むと女性や子供達が1ヶ所に集められていた。
さっき言ってた「戦利品」ってやつのようだ。
そこで俺がもう一度大声で
『さっさと降参してくださいよ!』
と叫ぶと、頭に赤い布を海賊が巻くターバンのようにした大柄の男が俺を睨みながらやって来た。
『あなたがお頭ですか?』
俺の問いに
『おうよ!俺様がお頭И#∃∨οΡ…』
名乗る前に婆ちゃんの一撃。
それを見ていた他の山賊に
『降参しないとこうなりますよ!』
と俺が降参を促すと男達はやっと武器を捨てて降参したのだった。
やれやれ。
何人の山賊がいるのやら。
『山賊の皆さんはこちらに集合してください!』
俺の号令に男達がトボトボと歩き出す。
20人程の山賊が集まったところで、怒りの形相の婆ちゃんが
『おぬしら獣以下の外道じゃの』
『いっぺん死んでみるか?ン?』
とヤ○ザバージョン再び…
俺が全員の手足を縛っていると1人の男が逃げ出した。
さすがに俺も油断はしていなかったが、急な展開に手加減無しの発頸を至近距離から放ってしまい、見事に吹っ飛ぶ男。
『あっ』
やっちまった的な俺の反応とは裏腹に山賊の男達は口をあんぐりさせての放心状態だった。
まさか子供の俺まで強いとは思っていなかったのだろう。
結局瀕死の山賊達も全員縛り上げ、総勢32人を拘束し村の解放となった。
◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆◇◇◇◇◆
コウちゃんの両親は遺体で発見されたが、途中ではぐれたお兄さんとは再会出来た。
火が残る村の中を水系の魔法で消火しながら進んでいる時にコウちゃんを見付けたお兄さんが走って来たのだ。
消火が一段落した頃には村の外に逃げていた村人達が続々と現れて、身内の死に涙する者、縛り上げられた山賊に暴言を吐く者、荒らされた家を片付ける者と様々だった。
その中には獣人である「犬人」「猫人」「兎人」の姿を俺は異世界に転生して初めて目にした。
しかし…アキバに生息してるニセモノより獣感が生々しい…
その後、俺と婆ちゃんが山賊達の前で処分をどうするか考えていると、数人の男達が現れて俺達にお礼を言い始める。
『この度はローソン村を救って頂きありがとうございました』
『導士様とそのお弟子様ですか?』
『お二方のことはローソン村を救ってくれた英雄として決して忘れません』
異世界でコンビニ発見!?
素晴らしい村名に前の便利な世界が一瞬懐かしく思い出される。
しかし…
俺って婆ちゃんの弟子か。
まぁそんな風に見えるわな。
それにしても「英雄」ですか…
やっぱりそんな風になるか…
お礼を言ってきた男性に
『人として当然の行いですから、気にしないでください』
『この山賊の処分ですがそちらにお任せしてもよろしいですか?』
と俺は聞いてみた。
正直もう面倒事はお腹いっぱいなので丸投げを試みたのだ。
『私達の村をこんなにした憎い仇で大変有難い申し出ですが、本来村を守る役人や警吏の奴等は早々に逃げ出した為、私達だけではどうすることも…』
そう言って男性は言葉にならなかった。
警吏って異世界の警察の事かな?
『むん~』
と唸った婆ちゃんは何かを思い出したように連れて来た最初の5人の方に歩いて行き何やら話している。
話しが纏ったのか戻ってきた婆ちゃんは男性に対して
『わしらが数日後に戻る迄で良いのじゃがコイツらを見張っていてくれんかの?』
『なるべく殺さない程度で良いからの』
と言って山賊達を見た。
『なぁに。悪いようにはせんからの』
そう言うと今度は男性の方を見て笑ってる。
何を企んでるやら…
もう面倒事は勘弁して欲しいと思った時には
『カンや。行くぞ』
と言ってスタスタと5人の方へ歩いて行ってしまった。
『はいはい』
俺に拒否権などはございませんよと言わんばかりに付いていく。
渋々付いて行く俺の頭の上で気楽そうに飛び回るシュウソウが妙に羨ましかった。
次回投稿予定 【7月15日】




