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世界はいい色をしている  作者: 速水詩穂
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青【ヒューマン超短編】



 青


「はい、じゃあその子のイメージに合う色を書いて、机の上に置いてあげてね」


 図工の授業。色の個性について延々話していた先生は、そう言って手をたたくと、私たちを立ち上がらせた。

 くるりと教室を一周して、時間をつぶして戻ってくる。途中、隣の席の子の机の上に「赤」や「オレンジ」と書かれた紙を見た。いわゆる「誰にでも好かれる」「人気者」だ。


 席に着く。全部見るまでもない。

 私は目の端をかすめた寒色に、心臓がきゅっと縮むのを感じる。

 そのときだ。目の前に影が落ちて、見上げる。そこには、うれしそうに頬を緩めている隣の席の子がいた。

「青だね」

 まるで指差されて言われたかのようだ。心の真ん中に、くさりと刺さる。

 生きている場所が違うのだ。くったくなく愛想を振りまけるあんたとは違うんだ。

「海の色だね」

 だから何。

 その子はにっこり笑うと、「青」と書かれた紙を指差した。

「本当はあったかいんだよね」




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