祖父と孫娘の戦い、4【エッセイ】
四
これは、祖父と私の戦いである。リミットはまぐろの刺身、あつかん込みの祖父の寿命。それまでに真に公平な関係を確立させる。
距離にして一時間弱。昔は親の運転する車に乗って、原発を横目に通っていた道。海沿いの茶色の建物の多い通りを祖父を乗せて走ると、年月を重ねるほどに小さくなっていく目を細めて「ここのパチンコ屋はよく行ったなぁ」と言った。
「ここにもパチンコ屋があった。もうなくなったんだなぁ」
「今でもよくパチンコ行くの?」
太くてごつごつした指。しわしわの手の甲をかざす。
「行かん行かん」
車を奪う。自由を制限する。行きたいところへ行けなくなる。そのことに胸がきしんだ。
田舎の、良く言えば平和な。そうでなければ少し不便な町並み。
「そうだ」
言いながら取り出したのは半透明のビニール袋。
「ほれ、やる」
信号で止まる。カラフルなパッケージ。ずっしりとした重み。全て個包装のあめ玉だった。
「・・・・・・ありがとう」
思わず笑ってしまった。祖父はニッと歯を見せて笑った。単純に私が喜んだと思ったためかもしれない。再びアクセルを踏み出す。
笑ってしまう。カラフルなパッケージ。
ウソつき。
ねぇじぃじ、この絵柄パチンコでしか見たことないんだけど。
勝負はこれから。




