ヒカリヘ、8【ヒューマンちょい長】
それでもときに限りがある。ひとしきり泣き終えた後、かおりさんがにっこり笑った。収集のつかない状況に窮した私が透けて見えたのかもしれない。化粧直しを名目にその場を離れると、控え室に戻る。
あるいはおこがましいことなのかもしれない。おりすんに変化が訪れない以上、一方的に制限をかけるのは。ならば気後れする必要はない。堂々と進めばいい。
例えばなかなか思うように会えなくなったとしても、そうして距離ができたとしても、
ずっと友達だよ。誓うよ。
私はきっとこれからもずっと友達でいる。キレイ事じゃなくて、きっと。
おりすんに、かおりさんに、救われたんだ。
〈おりすん、あたし結婚するわ〉
先に行かれる立場の辛さを知っている。からこその後ろ髪をひかれる思い。
けれども知っている。
おりすんも寂しさを押し殺してきっと、きっと笑って「おめでとう」と言ってくれる。あのやわらかい関西弁で。きっと。
化粧直しをしてくれている人がふっと表情をゆるめた。あたしの顔がゆるんだのかもしれない。
「旦那さん、困ってますよ」
ふっと笑った。悪いことをした。
「いいですか?」
私は立ち上がると、ドアに向かった。この向こうはやっぱり変わらず明るいのだろう。
さあ、いこう。
ドアを開ける。まぶしい光に包まれて、私は今日変化する。




